Yahoo!出品ページへ

建築家 武松 幸治

「30 MARCH」

素材:バーチ、金箔、インクジェットプリント

75年もの間、スツール60は様々な人に愛され、様々な思い出を作りだしてきたのであろう。
私もこのスツールに思い出を刻んでおく事にしよう。

2008年3月、アアルトの自邸を娘と訪れた。二度目の訪問だが、娘と訪れるのは初めてである。
私は幼年期を長崎の波佐見町という街で過ごした。陶磁器の製産の街である。ヘルシンキと同じく、昔から、陶磁器とデザインが共存していた街であった。
そんな環境の中、私が影響を受けたデザイナーがいた。森 正洋氏である。彼は当時北欧の影響を受け、この街で革新的なデザインを造り出していた。幼年期、森氏の自宅で絵を習っていた私は、昨年、はじめてアアルトの自邸を訪れた時、その当時と同じ空気を感じることができた。
本来ならば、幼年期に私が感じたデザインの環境を娘には伝えたいのだが、その街にはもう存在しない。
しかし、ヘルシンキにそれを見つけだす事が出来た。これも何かの偶然であろう。

そして今年の3月30日、娘とそこを訪れた。
娘は当時と同じ空気を読み取ってくれたことと願いたい。

プロフィール Profile

1963年、長崎生まれ。
多摩美術大学 美術学部建築科卒。1988年に英国の建築家ナイジェル・コーツと出会い、国内でのプロジェクトに参加する。1991年に環境変換装置建築研究所一級建築士事務所E.P.A設立。以降、自給自足型の建築をコンセプトに設計活動を開始、建築の枠にとらわれないフィールドで様々な作品を発表している。主な受賞に1996年(龍雲院)にて東京建築士会平成7年度住宅建築賞、2007年(FUKUTAKE HOUSE)にてD&AD GLOBAL AWARDS など。