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exhibition

Boutique! —ファッションって何?アートと考える、その姿。

期間:12.17〜29
会場:スパイラルガーデン

*English information

「もし、急に避難することになったら、何を着ていきますか?」
「今、あなたが着ている服をつくるのに、どれだけの材料が必要だと思いますか?」
「その服の価格は、価値に見合っていますか?」
そんな質問を投げかけられたら、あなたはなんと答えますか?
自己表現の手段として、そして日用品として私たちの生活に欠くことのできないファッション。スパイラルは、 この身近な存在であるファッションを切り口に、アーティストとファッションデザイナーとがペアを組んでアー トワークを制作し、「当たり前」を問い直す展覧会を実施しました。 参加するのは、フィンランドと日本のクリエイターたち。2つの国のフレッシュな才能が、価値と価格、生産と廃棄、 美の基準、機能と装飾などをテーマに映像、彫刻、絵画、インスタレーションといった多彩な作品を発表します。 ファッションを普段と異なる視点から捉え直す展覧会です。

○本展覧会は 2012年にフィンランド・ヘルシンキのAmos Anderson Art Museumで開催された「Boutique ‒Where Art Meets Fashion」展をベースに、日本人デザイナー、アーティストを新規に追加、さらにフィンランド側の作品も本展に合わせて一部再構成し、 東京展オリジナルとして実施いたしました。

■出展作家■
From Finland▶Tero Puha & Teemu Muurimäki/Salla Salin & Timo Rissanen/Heidi Lunabba & Nutty Tarts/Katja Tukiainen & Samu-Jussi Koski/Minna Parikka & Jani Leinonen / Paola Shuhonen & Mikko Ijäs
From Japan▶松井えり菜&舘鼻則孝/matohu&ナガオカケンメイ

■開催概要■
会期:2014年12月17日(水)~29日(月) 会期中無休 11:00〜20:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
   〒107-0062東京都港区南青山5-6-23 東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線「表参道」駅B1、B3出口すぐ
入場料:無料

■関連トークイベント■  <ご予約等は承っておりません。会場に直接お越し下さい。>
①12月17日18:00~19:30 ※参加無料
「Boutique! ーファッションって何?アートと考える、その姿。」開催記念トークイベント
登壇者:Annamari Vänskä(本展共同キュレーター)、松井えり菜、他
進行:加藤育子(本展キュレーター/スパイラル)

②12月21日14:00~ ※参加無料
松井えり菜×舘鼻則孝 トークイベント
話題の若手作家二人による初めてのコラボレーション作品「シンデレラコンプレックス」について語ります。

③12月27日15:30~ ※参加無料
matohu×ナガオカケンメイ トークイベント
ご来場の皆様に想い想いの「銘」を名付けていただくmatohu×ナガオカケンメイ共同制作作品「ふきよせ」。
会場に並んだ「銘」から最も良いものを選んで頂いた後、2組によるモノの価値、景色の読み方、見立て、などについてのトークを展開します。トークの最後には、ナガオカケンメイ氏自ら箱書きをしていただきます。


お問い合わせ先:TEL 03-3498-1171(スパイラル代表)
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
企画協力:Annamari Vänskä
特別協力:フィンランドセンター
協力:Amos Anderson Art Museum
後援:フィンランド大使館
グラフィックデザイン:キギ
会場構成:武松幸治+E.P.A


■出展作品紹介(一部)■
▶ 松井えり菜 & 舘鼻則孝

自らの顔をモチーフとした作品を画面いっぱいに描く若手画家の松井えり菜と、レディーガガが愛用する靴のデザイナーとして注目を集める舘鼻則孝。大人になるに従って服装で中身を判断されるようになってきたと語る松井。 彼女にとって、また多くの女性にとって「服」とは自分自身を違うキャラクターへと変身/演出できるアイテムでもあります。今回は服の変化がそのまま階級変化を表現している童話「シンデレラ」をモチーフに、身につけるものが演出する力、そして本当の幸福とは何かを考えさせるアートワークを発表します。
▶ matohu & ナガオカケンメイ 

「日本の美意識」を現代に活かす服づくりに取り組む気鋭のファッションブランドmatohuと、ロングライフデザインのセレクトストアD&DEPARTMENTなどを手掛けるナガオカケンメイ。彼らの活動は、ジャンルは異なりますが、表面的な華美や贅沢ではなく、物の本質を見極め、時代に流されずに大切なものを現代に綴っていこうとする確固たる姿勢が通底しています。今回、彼らは「(時代の流れの)ふきよせ」をテーマに、忘れ去られている物に新しい価値を当てる作品を展開します。日本独自の文化に目を向けると共に、大量に溢れる服や物との関係性を改めて考えさせる作品です。
▶ Tero Puha & Teemu Muurimäki 『Body Beautiful (Remix)』

アーティストのテロ・プハとファッションデザイナーのティーム・ムーリマーキは、身体、ジェンダー、セクシュアリティ、理想の美といったファッションが孕む重要な課題に取り組みます。ファッションは(身体的に)理想的な性差、外見上の「空虚な約束事」を作り上げていますが、これらの理想像に対し、広告の表現を用い批判的なスタンスを表現します。
彼らは「Body Beautiful (Remix)」という名の高級香水を開発。如何に理想的な美が作り出され、どのようにその基準が作り直されていくのかを、問いかけます。またどのようなビジュアルイメージを用いれば魅力的な商品に仕立てあげられるか、ブランディングについても考察した作品です。
▶ Nutty Tarts & Heidi Lunabba 『Dresscode』

アーティストのハイディ・ルナッバとアーティストデュオのヌッティ・ターツは「Cultural Dresscode」という作品を展開します。社会的属性 の異なる人々は、自然と服装やスタイルが類似し、無意識のうちに誰が どの階層に属すか、読み解いてしまいます。自らが属するグループと他 のグループは何が異なり、アイデンティティを創り出すのか。本作では、 どのように階層とビジュアルアイデンティティ相関しているかを探る 実験を行います。実験に参加した人々の答えは、会場に設けられた試着 室型のインスタレーションに来場者が入り、写真と映像を操作すること で見ることができます。※本展では、東京オリジナルバージョンを制作予定です。
▶ Salla Salin & Timo Rissanen 『15%』

服飾デザイナーのティモ・リーサネンとアーティストのサラ・サリーンは、最も喫緊の課題である大量消費文化にスポットを当てます。季節毎に変わる急速なトレンドに依存するファッションは、まるで使い捨ての日用品のように消費されています。彼らは、Tシャツを実際に縫って販売するパフォーマンスをおさめた映像を組み合わせたインスタレーション作品「15%」(一般的な洋服は、全材料の85%のみを使用し、残りの15%は廃棄されているという。)を展開します。それを見た消費者は、自分たちの消費に対する責任に気がつくでしょう。持続可能性の先駆者であるファッションをどう考えるべきか。衣服のイデオロギーとラグジュアリーはどのように関係しているのか。人と環境を使い果たさないような洋服の生産工程を構築するために、どんなことを考えるべきか。グローバル市場経済における価格の正当性について疑問を投げかけます。
▶ Katja Tukiainen & Samu-Jussi Koski 『Girl Evacuees』

元マリメッコのデザイナー、サム=ユッシ・コスキと画家でイラストレーターのカティア・トゥキアイネンの作品は“Girl Evacuees(少女避難民)”。本作は、カレリアの避難民(第一次~二次世界大戦の際にフィンランドのカレリア地方がロシアに占領され、避難した人々)に焦点を当てています。カレリアの人々は、故郷に危機が迫ったとき、わずかな大切な物を手にし、一番上等な服に身を包み、特に既婚女性はドレスを着てその地を去ったと言います。本作でサムがデザインしたドレスは、彼の祖母からの実際の話と古い写真に写ったカレリアの女性達が着ていたドレスに基づき、そこに新たな解釈を加えて現代的にアレンジしたものです。そしてこのドレスを着るマネキンは、イラストレーターとして活躍するカティアが描き出すキャラクターで、彼女らが住む“Shangri Laa Laa Land”という架空の国からGreed(貪欲)とIntolerance(偏見)によって追い出されてしまった女の子たちです。避難民となった彼女たちですが、美しいドレスを身にまとった姿を見ると勇気、自由、歓喜等を彼女らからは奪い取れないという事を想起させます。
▶ Jani Leinonen & Minna Parikka 『Shoe Liberation Army』

シューズデザイナーのミンナ・パリッカとアーティストのヤニ・レイノネンは著作権侵害、真正さ、偽物、といったアートとファッション双方にとって核心的な問題を取り上げます。彼らは、現実性と独自性とがアートとファッションの礎を築いてきた一方で、ファッションでもアートでも、盗作や著作権侵害、アイデアの盗用が行われない世界は存在しないのだと主張し、鑑賞者に挑みます。会場には超現実的な空間を思わせるブースを設置。内側にはレイノネンがポップアートの要素を取り込んで作成した壁紙が張られ、その奥にはパリッカが本展のためにデザインした靴が展示されています。この靴は本物、それともコピー商品でしょうか?真のオリジナリティとは何かを考えさせる作品です。
撮影:三嶋義秀