Waves 1st album『Encounter』リリース記念
SPECIAL INTERVIEW

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日本が世界に誇るプロデューサーの2人、EBZことNobuhiko 'Ebizo' Tanumaと、Kuniyuki Takahashiが新たに始動させたバンドWaves。


そのWavesの1stアルバムのリリースを記念して、バンドのリーダー的役割を務めるEBZ氏に、氏とは10年来の付き合いだというバイヤーの山上周平がインタビューを敢行。


プロデューサーとしての長いキャリアで培ったテクノロジーへの深い造詣、そして幼年期からの音楽体験で染み付いたミュージシャンシップを基に、彼らのルーツである"ジャズ"の重要なファクターを用い、リアルタイムでダンス・ミュージックを再構築するという彼等の新たな試みに迫る、充実のインタビューとなっています。




talks_vol10_photo4.jpgQ. 1stアルバムのリリース、おめでとうございます。EBZさんはこれまでエレクトリック・ミュージックのアーティストとして世界的な活動を展開してきた訳ですが、どのような経緯でインプロヴィゼーションのバンドをスタートさせたのでしょうか?


Nobuhiko 'Ebizo' Tanuma (以下EBZ)
過去にはジャムバンドをやっていた事もあるし、さらに遡ると大学時代にはストレートアヘッドなジャズバンドを組んでいた事もあるからね。


Wavesが実現したのは、エレクトリック・ミュージックをやっていても"いつかはバンドに戻る"という事を、常に思い描いていたからじゃないかな?


Q. ソフトウェア/テクノロジーへの辟易、という事も前々から言っていましたよね?


EBZ. 最近のエレクトリック・ミュージックが、ソフトウエアだけで作られて面白味の無いものになってしまっている、と自分自身が感じ始めたからだと思う。


パソコンの中で完結する音楽は、その発展途上にあった時には面白かったんだけどね。そういう自分自身のルーツがあった上で、色々なテクノロジーを体験して一回りして家に帰って来た、という感じかな。


Q. Wavesというグループ名の由来は?


EBZ.「ECM」からリリースされたTERJE RYPDALのアルバム・タイトルから貰った。このアルバムは1978年の作品だけど、ジャズとリズムマシーンの融合というWavesのコンセプトをその当時から実現していた作品なんだ。


Q. 当初はTR-808等のリズムマシーンに演奏が乗る、というアイディアもありましたよね?


EBZ. オレのTR-808はMIDI改造してあったんだけど、実際に使おうとしたら、壊れてて使い物にならなかったんだ(笑)。


Q. あらら・・・(汗)、でも、アルバムに収録されているシンセのアルペジオに演奏が乗る"TRI Waves"、とても良いですね。バンドのサウンドを作り上げる際にはどうような変遷があったのでしょうか?また最終的にメンバー全員がどのようなヴィジョンでレコーディングに臨んだのでしょうか?


EBZ. このメンバーでは数える程しかリハーサルをしていないので、変還という程のものは無かったね。


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メンバーを集めた時には、それぞれがどういう音楽性、志向、技量を持っているのかは分かっていたので、実際に演奏をスタートさせた時はほとんど自分の想い描いていた音楽になっていたよ。実際にリハをした時はその想い描いていたサウンドより遥かに良かったし。


それぞれのメンバーはソロであったり、バンドであったりメインの活動の場があるけれど、それがミュージシャンとしての全ての持ち味を出しているとは限らない。Wavesでは可能な限り自分の好きな様に演奏する事、普段演奏しない事をこのバンドで表現しようという気持ちはあったね。


Q. バンドとしての演奏力/表現力も然ることながら、プロデューサー/エンジニアとしての卓越したスキルも同時に発揮されている所がWavesというバンドの1つの特性だと思います。レコーディングからミックス/マスタリングまでのプロセスはどのように進めて行ったのでしょうか?


EBZ. レコーディングは札幌の芸森スタジオで行い、そのスタジオが所有するSSL 4000Eという卓でPro Toolsに録音した。


この卓はロンドン、AIR STUDIOにあったコンソールでGEORGE MARTINから寄贈されたものらしく、PAUL McCARTNEYのバンドやSTINGのレコーディングで実際に使われたという名機。


その後はPro Toolsで録音したデータの入ったハードディスクを自分のMacに入れてひたすらエディットとミックスを繰り返した。


ミックスはオレが担当して、マスタリングはクニユキさんが担当してくれたんだけど、同じバンド内でミックスとマスタリングが出来るというのは理想的だったね。


オレとクニユキさんは東京と札幌で離れて生活しているけれど、お互いが作業区域を分ける事でバンドの音を客観的に見る事が出来たと思う。


Q. 上記の質問と重複しますが、プロデューサーとしての視点も持ち合わせている2人が、自分達の音楽の特性を引き出す為に意識した事などはありますか?


EBZ. "色気"かな、中年的な(笑)


Q. 出てますよ、色気(笑)。


EBZ. 我々は既にオールドスクールな年齢に来ているから(笑)、それなりに様々な音楽を消化している訳で。


10代の頃から接して来た音楽や、今に至る中で自分が"良い"と思ってきた音色やフレーズをそのまま出せば、それが自分達だけのオリジナルな音楽になるのでは?と考えているよ。


クニユキさんのキーボードや、ピアノをサポートして即興で音楽を創るのは、とても楽しい作業でもあるね。


Q. 今回のレコーディングに使用した機材、楽器などを教えてください。


EBZ. まず、芸森スタジオに常備している機材をそのまま使った。ドラムもピアノも、ベースアンプに至るまで芸森スタジオには状態の良いヴィンテージ機器があるので、それを自由に使わせてもらったのは本当にラッキーだったね。こういうのもある意味、一期一会で。そこにあるものを使う、というイージーさが好きだし(笑)。


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あと、これも芸森に転がっていた機材で、CASIOのポータブルキーボードも使ったね。スピーカー内蔵のオモチャの様な楽器だけど、それを芸森所有の一番高価なビンテージマイクを使って録音した(笑)。


Q. EBZさんらしいなぁ(笑)。


EBZ. 芸森スタジオのレコーディング機材は本当に良い状態で、特にみどりん(ドラムにはSOIL&"PIMP"SESSIONSのみどりんが参加、その他IAN O'BRIEN等がゲストとして参加している)の使った1967年製のLUDWIGのドラムは、本当に良い音がしてると思う。みどりんが叩いてるのを間近で聴いた時、本当に60年代っぽい音がしたので感動的だったよ。


Q. 写真家、澁谷征司さんの作品(「ECM」スタジオの写真)を使用したジャケットも、バンドのクリアなサウンドと非常にマッチしていますね。


EBZ. 澁谷さんのこの写真に写っている4本のマイクは、誰かのレコーディングでアンビエンス(スタジオ内の空気感)を録音するために用意されたものじゃないかな?


特定の楽器の音を録る為では無く、空気感を録る為のマイク。それが4本立っているこの写真は、Wavesのコンセプトやメンバーを象徴するのにピッタリだと思ったんだ。


それにこの写真に自分が伝えたいメッセージがそのままある、と感じたんだよね。見た瞬間から"コレしか無い!"と確信してさ。それにこのオスロのスタジオはオレ達みたいな


「ECM」ファンにとっては聖地だから。


この写真からインスパイアされ、これに最も近い空気感を録音するには何処が良いだろうか?と探している内に札幌の芸森スタジオに行き着いた。


Wavesというプロジェクトは自分にとって邂逅の連続だったんだ。音楽も、人も、スタジオも、アートワークも、『Encounter』 (邂逅)という一つのキーワードで全部繋がっているんだよね。


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Q. このプロジェクトを進めていく中で様々な心境の変化があったとお聞きしましたが、それはどのようなものだったのですか?


EBZ. 今まで長い事ソロというか自己完結した音楽をやってきたのだけれど、それは自分一人で延々と作業して、常に自分の内面と向き合うというプロセスだったんだ。そういう音楽は自分自身の満足感は得られるけど、"誰かと共有するにはあまり向いて無いな"と最近になって気付いたんだよ。


Wavesをスタートさせた頃に、そこから脱却しようと思い始めていたんだよね。もっと自然にリスナーの皆さんと共有出来る音楽を創りたいと。


バンド・サウンドはチームで作り上げるものなので、自分を抑え、誰かのサポートに回る事もある。ソロからバンド活動に移った事で、そういう部分が新鮮に思えて来た。もちろん、ソロはソロとして今後もやっていく予定だけど、バンドで創る音楽の面白さを改めて再認識しているよ。


Q. 最後に、今後はWavesとしてどのような活動を展開して行く予定ですか?また、実現させたいサウンドのアイディアなどはありますか?


EBZ. まずライブかな。ライブをやれば新しいアイディアも沸いてくるし。
後はヴィンテージでも新品でも自分達にとって良いなと思える機材を探して行きたいね。


ありがとうございました。




【Waves PROFILE

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ダンスミュージック・シーンで世界的な活動を展開してきたNobuhiko 'Ebizo' TanumaとKuniyuki Takahashiの2人が、次なるステップとして始動させたバンド・プロジェクト。プレイヤーとしての側面も持ち合わせる彼等が、自分達のサウンドのルーツである"ジャズ"からの影響を、ディスコやハウスなどのダンスミュージックをはじめとする様々なスタイルの音楽に昇華していく。1stアルバムでは、ダンスミュージックの域には留まらない多彩な音楽性を発揮する、Ian O'brienをギターに、日本のクラブジャズ・シーンのパイオニア、SOIL & "PIMP" SESIONSのみどりんをドラムスに迎え、4人の卓越したミュージシャンシップを基に、ダンスミュージックのダイナミズムと豊かな叙情性を紡ぎ出している。



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1stアルバム『Encounter』BEAMS RECORDSより発売中

 
 
 
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