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トップページスパイラルバンク 最新ニュース|「アートのアプリケーション」アートが町にやってきた Vol.3|
人と人・町・社会に幸福な関係をもたらす「鑑賞」を超えたアートの力を、
スパイラルのアートプロデュース活動の事例を通して紹介します。

事例2.柏の葉の場合:ハチとアートが共生する (1)


パリ中心にあるリュクサンブール公園の
ハチコーナー。 柵の手前まで
近づくことができる。
 最近注目されている社会現象のひとつに「ミツバチの不足問題」があります。ハチに触れあうことのない人には、軽く一蹴されてしまいそうなこの問題も、今の我々にとっては深刻な事態。なぜなら、柏の葉では、アートとミツバチを絡めるプロジェクトを足かけ1年以上やってきているからです。「柏の葉はちみつプロジェクト」が、今回のテーマです。

 フランス人アーティスト、ジャン=リュック・ヴィルムートは日本で言うところの東京藝術大学にあたるエコール・デ・ボザールで教鞭を執る大変高名な先生です。スパイラルとは、1997年に開催した彼の個展「誘惑のバー Bar Seduire」以来の付き合いで、無類の日本好きからこれまで何度となく来日しています。

パコーナー前に置かれた看板には
ワークショップなどの情報も。
妻有アートトリエンナーレの松代雪国農耕文化村センター内にあるカフェ(常設)の作品でご存知の方もいるかもしれません。彼の作品の特徴とされるのは、ひとつは設置される土壌の風土や意味、歴史などが作中にこめられること。そして、それらがわかりやすく、また、極めて洗練された美しい形で伝えられ、人々が豊かな気持ちを得ることができることであるとスパイラルは考えています。柏の葉は、まだ生まれて間もない場所。彼なら、未来に向けて伸びゆかんとするこの町で、なにか豊穣なるものを生み出してくれるのではないかという期待を胸に柏の葉にて展開する作品提案をお願いしました。
 町のことを一通り説明した後、自然豊かな柏の葉に目をつけた彼がふと「マンションの敷地内に作品を設置して、ミツバチを飼ってみたら?」と言い出したのが2008年の春のこと。フランスをはじめ、ヨーロッパではハチミツという食材はもちろんのこと、ミツバチは、ずっと日本人より身近な存在でした。聞けば、彼の住むパリ市内にあるリュクサンブール公園では、一角で実際に市民がハチを飼っている事例もあるし、また、ある文化イベントの一環で、養蜂家でありグラフィックデザイナーでもあるオリヴィエ・ダルニの作品として、パリ市内数箇所に人々が自由に覗きこむことのできる観察巣箱を一時期設置した、という実績があったこともわかりました。日本では一般的に、ハチは危険なものとみなされ、遠く山の奥で飼育されたり養蜂が営まれたりするため、町の中でハチと触れ合える機会はまずありえません。むしろ、ハチがいれば駆除するというのが今の日本の当たり前≠ノすら感じます。

ジャン=リュック・ヴィルムートによる
ファーストプラン。
まずは六角形のハニカム状の巣箱を試作した。
 柏の葉はもともと広大なゴルフ場を切り開いてできた場所でもあり、開発中とはいえ、今も自然の宝庫です。そのような場所に、互いを知らない新しい住民同士をつなぐ仕掛けとして「ハチ」というテーマを掲げた彼の提案にスタッフ一堂感動。モチーフとしても愛らしく、花と花を飛び交うハチが町にあふれ、やがてその町独自のハチミツが採れるというような絵姿を目に浮かべると、作品はまるごと豊かな自然の象徴とも言えるし、心に優しく響くストーリーにもなる。一瞬で彼のアイデアに引き込まれた我々はすぐさま実現化しようと乗り出しました。
 しかし問題は「ハチってどうやって飼うの?」ということ。アートに関してはともかく、虫についてスタッフはあまりに無知すぎました。

 
続きは次回掲載します。お楽しみに。
執筆者プロフィール
●大田佳栄 Yoshie Ota
カルチャー情報誌の編集者を経て、2001年よりスパイラル/株式会社ワコールアートセンターに勤務。現在はアートプロデュース アートプロジェクト担当プランナーとして主に館外の活動を推進している。
 
 art column
「アートのアプリケーション」
vol.5 柏の葉の場合:新しい町のアイデンティティとなるコスチュームデザイン
vol.4 柏の葉の場合:ハチとアートが共生する (2)
vol.3 柏の葉の場合:ハチとアートが共生する (1)
vol.2 事例1.柏の葉の場合:マルシェコロール
vol.1 事例1.柏の葉の場合:なぜ町にアートが必要か
   
「クリエイターへの道」
vol.3 ポートフォリオの作り方
vol.2 プロモーションについて
vol.1 メディアに掲載されるには
   
 Event Report
バイヤーズチェック 最新レポートVol.01

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