Personal wares ー 属人器 ～シングルオリジンの有機茶と瀬戸焼～

この展覧会は、「ステイホーム」でおうち時間の充実に関心が高まる今般において、新たなライフスタイルを提起すべく、日本の焼物の代表格・瀬戸焼と、国内4産地の厳選有機茶を紹介するものです。

「属人器」とは、考古学用語で、自分だけが使う食器や道具を意味する言葉です。自分専用の箸やお茶碗のほか、「マイボトル」や「マイカップ」もこれに該当します。古くは奈良時代の平城宮出土品にも、箸や食器（土器）、それらを置くお盆（折敷）が確認されています。
自分だけが使う食器があることは、世界的にとても珍しい文化です。日本では古来より、口をつけて使う食器には使った者の魂が宿ると信じられ、それを使う者の分身として大切に扱われてきました。一方で、感染症予防という衛生機能も持ち合わせていました。

個人用のセット化した食器を並べる様式は、その後も連綿と受け継がれています。今展では、幕末から全国的に普及した個人用の食卓「箱膳」と、個人用の茶道具をセットにした「茶箱」を切り口に、「瀬戸焼」と「有機茶」を展覧します。

瀬戸焼は、「六(ろく)古窯(こよう)」（中世から続く歴史ある六つの焼物の産地）の中で唯一、釉薬による彩色が行われてきました。日本の「うつわ」の代名詞「せともの」。会場では、その色彩、形、手触り、使い勝手の良さなどを実感して頂けます。
「うつわ」と同じく、茶も日本の食卓に欠かせないものです。今展では、静岡、愛知、京都、鹿児島の4産地の気候・風土を生かして生産された「有機茶」を選りすぐってご紹介します。

「新しい生活様式」のヒントは、実は、日本の伝統的な食文化にあるのかもしれません。本展示会では、「せともの」と「有機茶」を通じて、新たなライフスタイルを提案します。