詩に興味があるけれど、どうやって入っていいかわからない、自分で書いてみたいと思うけど、どうやって書けばいいのかわからない、そういう声をたくさん耳にします。
詩人の中には、学校で教えた経験のある人がたくさんいます。
けれども、その講義は、授業を受けられる学生しか聴くことができません。いま生きて活躍している詩人による、詩の講義をちょっとのぞいてみたい。いままさに生まれている詩について、生の声で聞いてみたい。そういう思いで、この教室は始まりました。
講座は各期全4回、うち講義形式が3回、最終日には実作のワークショップを行います。
講師は井坂洋子さん(春期)、福間健二さん(夏期)、峯澤典子さん(秋期)。
1日だけの参加も大歓迎。忙しい時間の中に少しがんばって、言葉と向き合う時間をつくってみませんか。
※終了しました。
開講日:
【春期】井坂 洋子
2019年4月24日(水)19:00-21:00(18:30開場)
2019年5月22日(水)19:00-21:00(18:30開場)
2019年6月5日(水)19:00-21:00(18:30開場)
2019年7月6日(土)14:00-17:00(13:30開場)
【夏期】福間 健二
2019年7月25日(木)19:00-21:00(18:30開場)
2019年8月29日(木)19:00-21:00(18:30開場)
2019年9月6日(金)19:00-21:00(18:30開場)
2019年9月28日(土)14:00-17:00(13:30開場)
【秋期】峯澤 典子
2019年10月4日(金)19:00-21:00(18:30開場)
2019年10月30日(水)19:00-21:00(18:30開場)
2019年11月8日(金)19:00-21:00(18:30開場)
2019年12月7日(土)13:00-16:00(12:30開場)
会場:
スパイラルルーム(スパイラル9F)
東京都港区南青山5-6-23
受講料:
各回 2,800円(税込)
4回通し 10,000円(税込)
定員:
各回30名(定員に達し次第締切)
お問い合わせ先: Spiral Schole(スパイラル スコレー)担当 03-3498-1171
共催:思潮社、株式会社ワコールアートセンター
協力:オブラート、スパイラルスコレー
第一回 イントロダクション/私の愛する詩人たち(近代篇、室生犀星を中心に)
第二回 私の愛する詩人たち(女性篇)/中也賞候補、新しい書き手と書法
第三回 井坂洋子の詩の書き方
第四回 実作講評
近代詩の父であり、現代詩の始まりとも目されている萩原朔太郎だが、朔太郎と出会い、大正の詩壇に大きな足跡を残した室生犀星は、その後作家になったこともあって、詩人としての業績にあまり目が向けられていないように思う。『抒情小曲集』『青き魚を釣る人』など清新な小曲詩をもって、詩を一般にもひろめた犀星の力を再評価するというと大げさな言い方になるが、その小説やエッセイを含めて受講者とともに読んでいきたいと思う。
私が詩に興味をもつきっかけとなった作品は数多いが、中でも自分が書く上の養分となり、その文体や思想等に影響を受けた詩人は、牟礼慶子、富岡多恵子、吉行理恵、森原智子など女性の書き手たちだった。それがなぜ女性かというのは、男性の詩人のみを取りあげ論じる際に理由がいらないように、特別な理由はない。女性と男性の社会的な性差を問題視することではなく、私自身の詩を語る上での点ずる灯となった各詩を取りあげたい。また新しい詩人たちの詩も語ることができたならと思う。
自分の今までの作品について振り返ることなど、まずない。どのようにして一篇が成ったか、覚えている詩もまれにあるが、大方は書ききったと思った瞬間に、手放してしまう。
今回、このような機会をいただき、自分の詩の変遷や、いくつかの詩篇を俎上にあげて話してみたい。
― 井坂 洋子
第一回 言葉がどうなったら詩になるのか
第二回 いい詩って?
第三回 詩は生きている
第四回 実作講評
言葉で表現されているもの。それがどうなったら詩になるのか。決まった公式のようなものがあるとは、いま、思えない。公式が保証するのは「詩とされるもの」や「詩らしく感じられるもの」でしかない。意識していたいのは、この「詩とされるもの」や「詩らしく感じられるもの」がときにはすごくいいかげんなものだということだ。
詩をどう読むのか。そして、どう書くのか。一般的に、こうである、ああである、ということが言われてきたと思う。あらゆる「一般的」に対するのと同様に、この「一般的」に振りまわされてはいけない。しかし、ストイックになりすぎる必要もない。「一般的」を踏み台的に利用したほうがいい場合もある。
で、詩に求めるべきものは何なのか。それは、ズバリ、普通であること。「一般的」の対極にあるような「普通」を、どれだけ大きく、魅力的なものにできるか。それが勝負なのだというところへ、現在の文化の状況のいろんな面を考えながら、まず走り込んでみたい。
詩は生きている。ぼくは以前からこの言い方が好きなのだが、ジャンルとしての詩が死んでなんかいない、ということ以上のことを言いたい。言葉が生きている。表現が生きている。どうであったらいいのか。むずかしそうで、実は簡単なことなのかもしれない。これと微妙にすれちがうこととして、最近思うのは、生きることそのものが詩であるというように生きるにはどうしたらいいかだ。この大宿題も頭に入れて話をすすめていきたい。
― 福間健二
第一回(10/4) わたしを見つめ、わたしを超える
第二回(10/30) 日常との境界にある言葉
第三回(11/8) わたしの惹かれる詩・詩の書き方
第四回(12/7) 実作の講評
俳句や短歌と異なり、詩はとくに書き方のルールを持たず、自由に何でも書いてもいい。とはいえ、「わたし」の日々の思いや感情をそのまま言葉にのせれば詩になるのだろうか。
たとえありふれた日常の出来事を扱っていても、人を魅了し、長く読まれる詩は、単なる身辺雑記とどこが違うのだろう。
詩人たちは、「わたし」の日常の何をどのように見つめ、発見し、それを詩へと導くのか。人の暮らしをめぐる作品を読みながら考えてみたい。
日常という場所は、詩の舞台として選びやすい。けれど、詩の語り手の立ち位置はいつも日常のなかにあるとは限らない。見慣れた生活圏に留まらず、さまざまな時間と空間を言葉で辿ったとき、何が見えてくるのだろうか。
例えば、異国を旅する詩、死者の目で人の生を見つめた詩、異世界の物語を紡ぐ詩など、日常との境界で生まれる作品を例に挙げ、詩のさまざまな形や発想や書き方を見てみたい。
そして、わたしを魅了し続ける詩、わたしに詩作のヒントを与えてくれる作品を紹介しながら、わたし自身の詩の書き方についても触れてみたい。
一篇の詩をどう読むかだけでなく、一篇の詩がどう書かれるのかについて、アイデアの段階からそれらが出来上がるまでの流れに沿って追っていけたらと思う。
― 峯澤 典子
▶「Spiral Schole」について
スパイラルと運営母体のワコールが共同で推進するエデュケーションプログラム。開館30周年を記念し、2015年4月にスタートしました。本プログラムでは、スパイラルとワコールがこれまでに培ったノウハウとネットワークから選び抜いた、経験豊かなプロフェッショナルを講師として迎え、様々なニーズに合わせた講座を実施しています。
http://www.spiralschole.com