スパイラルは、1985年10 月、株式会社ワコールが「文化の事業化」を目指して東京・青山にオープンした複合文化施設です。
館内には、ギャラリー、カフェ、多目的ホール、レストラン、生活雑貨を扱うショップ、ネイルサロンなど、多種多様なスペースが共存しており、運営にはワコールの関連会社である株式会社ワコールアートセンターがあたっています。
スパイラル(SPIRAL)の名称は、英語で螺旋を意味します。これは、螺旋状に上昇していくイメージを表現した建物の外観と内部構造の特徴に由来します。スパイラルのテーマは「生活とアートの融合」。生活とアートが美しく溶け合った豊かなライフスタイルの実現を目指して、さまざまな提案を行なっています。それは、美術、演劇、音楽、映像、ファッション、デザインなど、質の高い芸術活動を日常生活の中で気軽に楽しむための、そして、暮らす、食べる、装うといった日々の生活そのものに、アーティストの視点を取り入れる提案です。都市生活者を中心に、日常にゆとりのある時間と空間の楽しみ方を提供します。
スパイラルは、ジャンルを超えた芸術に触れる場として、
コンテンポラリーな文化情報の受発信基地として、
現代のカルチャーシーンを常に創り続けていきたいと考えています。
株式会社ワコールアートセンター
スパイラル/株式会社ワコールアートセンターは、アートセンターとしてのノウハウやクリエイティブネットワークを生かし、自社で運営をする複合文化施設「スパイラル」を拠点にアートプロデュース事業のほか「+S」Spiral Market、ネイルサロン「ネイラ」など多角的に事業を展開しています。
スパイラルは、日常にゆとりのある時間と空間を提供するため、フレキシブルな用途に対応できるよう設計されています。建築の設計は、建築家・槇文彦氏が手がけ、モダンデザインの原点を象徴する正方形、円、正三角形、円錐など「純粋幾何学体」を基本要素とし、外観には数多くの部分的形体を積み上げていくというコラージュ的手法を採用。また建築素材にはアルミパネルやガラス、金属的なタイルを多用し、現代的でシャープな雰囲気を醸し出しています。内部は、エントランスホールから2階へと続くエスプラナード(大階段)とスパイラル(螺旋)状にスロープが設置された円筒形のアトリウム(吹抜)が設けられ、ゆったりとした贅沢なパブリックスペースが広がっています。訪れた人々は、館内で開催される催しに触れながら、自由に回遊して楽しむことができ、都市生活者にとっての安らぎの空間を創り出しています。
なお、スパイラルは1987年、アメリカ建築家協会の選定する、その年の世界で最も優れたアルミニウムを使った建築に与えられる「R.S.レイノルズ賞」を受賞。また、2012年には、25年以上にわたって長く地域の環境に貢献し、風雪に耐えて美しく維持され、社会に対して建築の意義を語りかけてきた建築物を表彰する「JIA25年賞(日本建築家協会)」を受賞しました。
1928年東京都に生まれる。1952年に東京大学工学部建築学科を卒業し、アメリカのクランブルック美術学院及びハーバード大学大学院の修士課程を修了。その後は、スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル、セルト・ジャクソン建築設計事務所、ワシントン大学のキャンパス・プランニング・オフィスに勤務する。ワシントン大学とハーバード大学で都市デザインの準教授も務める。1965年に帰国、株式会社槇総合計画事務所を設立。
1933年 東京生まれ。1956年東京芸術大学美術学部図案科卒業。同年、資生堂宣伝部入社。株式会社デスカを経て、1961年仲條デザイン事務所設立。TDC会員金賞、ADC会員最高賞、⻲倉雄策賞、毎日デザイン賞、日本宣伝賞山名賞、毎日ファッション大賞 鯨岡阿美子賞などを受賞。主な仕事に松屋銀座、スパイラル、東京都現代美術館、細見美術館のCI計画。資生堂パーラーのロゴタイプ及びパッケージデザインなど。
スパイラル/株式会社ワコールアートセンターは、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2022年度 グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しました。 1985年のオープンから継続して美術、ダンス、ファッション、デザインなど、質の高い芸術活動を気軽に楽しむことができる空間の創出、そして、暮らす、食べる、装うといった日々の生活そのものを、よりクリエイティブに楽しむための提案をし続けてきたスパイラルの活動が、暮らしの中で人々に愛され、これからも変わらずに存在し続けてほしいデザインである、という評価をいただいたものです。
■審査員コメント
スパイラルは、人と会う場であり、予期せぬ出会いの場であり、コーヒーを飲みながら寛ぐ場であり、美術に浸る場であり、演劇、ダンス、パフォーマンスアートに痺れる場であり、展示会に招かれる場でありと、毎日のように何かが起こっている場である。株式会社ワコールが「文化の事業化」を目指してオープンした開かれた複合文化施設は、創業者の思惑通り、解放されたクリエーションの受け皿としてかけがえのない唯一無二の場となっており、幅広い年齢層のビジターにいつでも新鮮なアートの世界観を告げようとしている。「スパイラル」と命名したワコール代表取締役の塚本能交氏、建築家の槇文彦氏によって設計されたこの場所は、その誕生の当初から、止まることのない表現行為の結節点であり続けることを見据えていたかのようである。
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