スパイラルは、2010 年6 月15 日(火)~27 日(日)まで、フィンランドでテキスタイルと陶芸の制作を続ける、石本藤雄の個展を開催しました。
石本は、1974 年以来マリメッコ社のテキスタイルプリントデザイナーとして活躍し、フィンランドのテキスタイルアートの歴史に名を残しています。フィンランドの広大な自然をテーマに、生きるものの美しさを伝えるテキスタイルは、いまや約300 点にのぼります。それら日本的な美意識や自然観を感じさせる石本のデザインは、フィンランドの伝統的なテキスタイルデザインの世界に新しい風を吹き込み、親しまれてきました。
その後石本が陶芸を始めたのは1989 年。1 年間、陶器メーカーのアラビア社に客員アーティストとして陶芸に携わった後、1991 年に渡米も経験。以来、現在に至るまでアラビア・アートデパートメントにアトリエを構え、作品を制作し続けています。近年取り掛かっているモチーフは、無限の可能性を感じるという"花"。今回の展覧会では"花"のシリーズの新作も発表しました。
「陶芸の、この具体的に手で作業することにとても魅力を感じる。土と仕事をしているときは、その素材の声を聞き、謙虚にその声に従わなければならない。そして形はほとんど偶然に生まれてくる。」という石本。また、「布と土に共通して、クリエイションの興味の中心にいつも"色"を置いている。的確な色と、色の世界を見つけることは、私にとって非常に大切なことである」というように、テキスタイル同様、陶芸にも鮮やかな色にこだわった作品は、フィンランドと日本の距離を越え、自然が持つ豊かさを伝えます。本展では、陶芸の新作の他、フィンランド・ヘルシンキのデザインミュージアムで2008 年夏に開催された「Uniflora」展にて発表された花の作品や新作に加え、これまでに手掛けたテキスタイルの作品も展示しました。
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
時間:11:00~20:00 無料
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
協力:Design Museum, Helsinki、ARABIA Art Department Society、Marimekko Corporation
株式会社スキャンデックス、株式会社ルック
後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター
会場構成:武松幸治+E.P.A
グラフィックデザイン:Thonik