スパイラルの2010年、最初の展覧会は上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」を開催。本展では、明治以来の歴史を持つ石川県能美市の窯元・上出長右衛門窯と、その窯元を継ぐ立場である若手アーティスト・上出惠悟から広がる斬新な九谷焼の世界をご紹介しました。
伝統と確かな技術力を持つ上出長右衛門窯。その技術を受け継ぎながら、作品は身の周りにある素材をモチーフとし、上出の自由な発想と創造力によって多様に展開していきます。急須にタイヤをつけた"走る急須"、アイスクリームのコーンを模した"コーン盃"など、日々使用される器にほんの少し遊び心が加えられ、実にユーモア溢れる世界を私たちに提示してくれます。今回は、伝統的な文様である「花詰」に彩られた髑髏(どくろ)型のお菓子壺の作品や、地球儀の新作も展示し、「九谷焼」という言葉が想起させる"石川の伝統工芸"、"華やかな器"といった既成概念を飛び越えた、ユニークな作品が約30 点以上登場しました。
これら多様な作品を括るのは"九谷焼"というひとつのメディアですが、その楽しみ方は、使う・飾る・祝う・愛でる・遊ぶ・学ぶ、など実に様々です。従来の九谷焼の域を超え、多様でユーモアのある世界は、私たち観るものの視点を少し変え、日常に潜む変化に富んだものへの気づきを与えてくれます。
スパイラルのコンセプトである"生活とアートの融合"に通じる、これからの九谷焼の可能性を感じさせる展覧会となりました。
時間:11:00~20:00 無料
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
協力:a.k.a./金澤アートイベントカレンダー イコール/株式会社オーエス
株式会社 丸八製茶場/上出長右衛門窯/忽那光一郎/スタジオ コヅ/髙木糀商店
チームラボ株式会社/ネクストキッチン/福光屋/丸若屋/輪島キリモト