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上出・九谷・惠悟展 『九谷焼コネクション』

使う・愛でる・遊ぶ―九谷焼からつながる、ひろがる日常への視点
2010.1.6~1.20

スパイラルの2010年、最初の展覧会は上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」を開催。本展では、明治以来の歴史を持つ石川県能美市の窯元・上出長右衛門窯と、その窯元を継ぐ立場である若手アーティスト・上出惠悟から広がる斬新な九谷焼の世界をご紹介しました。


伝統と確かな技術力を持つ上出長右衛門窯。その技術を受け継ぎながら、作品は身の周りにある素材をモチーフとし、上出の自由な発想と創造力によって多様に展開していきます。急須にタイヤをつけた"走る急須"、アイスクリームのコーンを模した"コーン盃"など、日々使用される器にほんの少し遊び心が加えられ、実にユーモア溢れる世界を私たちに提示してくれます。今回は、伝統的な文様である「花詰」に彩られた髑髏(どくろ)型のお菓子壺の作品や、地球儀の新作も展示し、「九谷焼」という言葉が想起させる"石川の伝統工芸"、"華やかな器"といった既成概念を飛び越えた、ユニークな作品が約30 点以上登場しました。

これら多様な作品を括るのは"九谷焼"というひとつのメディアですが、その楽しみ方は、使う・飾る・祝う・愛でる・遊ぶ・学ぶ、など実に様々です。従来の九谷焼の域を超え、多様でユーモアのある世界は、私たち観るものの視点を少し変え、日常に潜む変化に富んだものへの気づきを与えてくれます。
スパイラルのコンセプトである"生活とアートの融合"に通じる、これからの九谷焼の可能性を感じさせる展覧会となりました。

■ 開催概要

時間:11:00~20:00 無料
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
協力:a.k.a./金澤アートイベントカレンダー イコール/株式会社オーエス
   株式会社 丸八製茶場/上出長右衛門窯/忽那光一郎/スタジオ コヅ/髙木糀商店
   チームラボ株式会社/ネクストキッチン/福光屋/丸若屋/輪島キリモト

■ 関連イベント
アーティストトーク 上出惠悟×南條史生(森美術館館長)
1月20日(水)19:00〜 ※着席定員50名
「KUTANI SEAL」ワークショップ
1月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
15:00〜、18:00〜

普段は手仕事による絵付けを行っている上出長右衛門窯。今回は、伝統的な文様や長右衛門窯ならではの楽しげな絵柄を特別にシール状にし、それを器に張り付けることで九谷焼の絵付けを気軽に楽しめるワークショップを行いました。


KUTANI SEALとは?
「KUTANI SEAL」とは、転写技術を使い、楽しく九谷焼と親しんでもらう事を目的としたプロジェクトです。転写とはあらかじめ印刷された文様を、シールのように器に貼付け製品を量産する技術として確立されています。

KUTANI SEAL の活動
2009年7月 「丸若屋」と共にKUTANI SEALを立ち上げ
2009年7月 WORKSHOP in GALLERY YAMAMOTO(栃木)
2009年8月 WORKSHOP in SUISEI CLUB(石川)
2009年8月 WORKSHOP in CHOEMON-GAMA(石川)
2009年8月 WORKSHOP in MADARACAFE(東京)
2009年10月 SAKESHOP FUKUMITSUYA 銀座店開店10周年を記念した
日本酒ボトルのラベルにKUTANI SEALが使用される。
2009年10月 WORKSHOP in SAKESHOP FUKUMITSUYA(東京)
スパイラルカフェ 上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」スペシャルメニュー
本展に合わせてスパイラルカフェでは、上出長右衛門の茶器で味わっていただける、 高木糀商店の"加賀味噌"を使用した味噌フィナンシェと加賀棒茶のセットや、 甘酒にミルクを注いだミルク甘酒の期間限定特別メニューを展開いたしました。 また、ネクストキッチンによる上出長右衛門窯のオリジナルビスケットも販売し、ご好評をいただきました。

一、 加賀棒茶と味噌フィナンシェ ¥1,050
湯呑み(笛吹もしくは線文)
急須(笛吹もしくは舟形唐草文)
結び文皿 九谷絵変り

二、 甘酒ミルクと味噌フィナンシェ ¥1,250
汲出碗(笛吹もしくは朱巻見込福文)
結び文皿 九谷絵変り

三、 甘酒ミルク ¥900
汲出碗(笛吹もしくは朱巻見込福文)
■ プロフィール
上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)
1879年(明治十二年)、九谷焼の窯元として石川県能美市に創業。社内一貫生産にて主に割烹食器や茶道具を製造し、職人による非近代的な手仕事を守り続けている。門外不出の深い発色の染付けに九谷古来の彩り鮮やかな上絵付けと、丈夫で美しい生地が特徴。

経歴
1884年 石川県能美市に創業
1894年 窯業協会紙に工芸博士小沢卯詐欺三郎先生と共同研究の「九谷焼杯土の基礎研究」と題し論文を発表する
1953年 現代美術展に入選
1969年 明治神宮御依頼による「花瓶」を献納の栄を賜る
1971年 朝鮮陶磁の研究に訪朝する
1972年 創造美術会陶芸部に推挙される
1973年 全国現代茶陶展に委嘱出品する
1974年 東大名誉教授故三上次男先生を講師にヨーロッパ陶磁研修に八カ国を廻る
1976年 全国煎茶道大会に委嘱出品する
1980年 中国景徳鎮に於いて中国陶器の研究をする
1983年 昭和天皇御来県の折、御使用の御器制作の栄を賜る
1990年 石川県九谷陶磁器商工業協同組合連合会理事長に推挙される
1993年 食器揃いが石川県グッドデザイン賞指定
五代目、通商産業大臣表彰を受ける
1996年 四代目、藍綬褒章を受く
1998年 四代目、永年の功績により寺井町より表彰される
2000年 沖縄サミットの折、首脳晩餐会の器に使用される
2003年 四代目勲五等雙光旭日章を受く
2006年 栃木県ギャラリーヤマモトにて個展「品格の九谷焼」を開催する
2008年 高島屋日本橋店にて「長右衛門窯 百珍」を開催する
2009年 創業百三十年を迎える
choemonTOKYO
上出長右衛門窯の新事業部。2006年より上出惠悟が主体となり新分野や異業種とのコラボレーションワークや様々な企画に力を注ぎ、九谷焼の新たな可能性を模索している。2007年、スポーツライフスタイルブランド「PUMA」の「PUMA 8 speed Urban Mobility Bike(自転車)」を「MARUWAKA(現・丸若屋)」とのコラボレーションにより九谷焼でカスタマイズした自転車や、「髑髏 お菓子壷 花詰様式」などを発表する。2009年丸若裕俊と共に「choemonTOKYO」を設立。「長右衛門窯 九谷焼ショップ」「九谷焼展示会」「ちゅう右衛門大作陶展」などを開催する。また「丸若屋」と共に「KUTANI SEAL Project」を立ち上げ、九谷焼を幅広く伝えている。
 
経歴
2007年5月 「PUMA with MARUWAKA KUTANI」に参加。九谷焼で自転車のパーツを製作
(東京/ミッドタウン他全国4カ所)
2007年9月 「CAZZANIGA」個展の記念品を製作(東京/イタリア文化会館)
2007年10月 九谷焼展示会「Comme des Choemon」を開催(金沢/a.k.a.)
2007年11月 松井龍哉展「Flower robotics」で使用されたランチプレートを製作(茨城/水戸芸術館)
2008年2月 展覧会「BONE TO LOVE」に参加。髑髏のお菓子壷を製作(東京/ギャラリー・ル・デコ)
2008年4月 期間限定店「長右衛門窯・九谷焼ショップ」をオープン(金沢/SHOP ARTRA)
2008年5月 「TOTOリモデルフェア石川」に参加。手洗い洗面器を製作(金沢/金沢TOTOショールーム)
2008年8月 金沢の乳製品セレクトショップ「丸角」で使用される食器と壁面タイルを製作(金沢/丸角)
2008年10月 髑髏のお菓子壷「花詰様式」を製作。日本橋高島屋での個展「長右衛門窯・百珍」で展示
(東京/日本橋高島屋)
2008年10月 九谷焼展示会2「Smiling,Meaning in Living」を開催(東京/新宿伊勢丹)
2008年10月 アートフェア 「ウルトラ001」に参加(東京/SPIRAL)
2009年1月 長右衛門窯創業130年を記念した個展「130」を開催(金沢/a.k.a.)
2009年1月 ファッションブランド「mastermind JAPAN」の展示会に参加。記念品を製作(Paris)
2009年2月 これまでパートナーとして仕事を共にしていた丸若裕俊と正式に「choemon TOKYO」を設立。
2009年2月 グループ展「Nowhere but Hayama Opening Exhibition」に参加する。(神奈川/Nowhere but Hayama)
2009年5月 「九谷焼茶碗まつり」に参加。「長右衛門窯・窯開き」を開催(石川/能美市)
2009年6月 「ちゅう右衛門・大作陶展」を開催(金沢/茶房一笑)
2009年6月 イベント「金沢百万石ノ夜」に参加(金沢/social)
2009年7月 期間限定店「長右衛門窯・九谷焼ショップ」をオープン。
「KUTANI SEAL WORKSHOP」を開催 (栃木/ギャラリーヤマモト)
2009年7月 グループ展「浅野川・夏のうつわあそび」に参加。
「KUTANI SEAL WORKSHOP」を開催(金沢/彗星倶楽部)
2009年8月 東京の「TOKYO CULTUART by BEAMS」で髑髏のお菓子壷を展示(東京/TOKYO CULTUART)
2009年8月 展覧会「乙女の金沢展」に参加(東京/サケショップ福光屋 玉川店)
2009年8月 各地で「KUTANI SEAL WORKSHOP」を開催
2009年10月 九谷焼展示会3「NEXT SAKE,NEXT VALLEY」を開催(東京/福光屋銀座店)
2009年10月 九谷焼展示会4「Fantastic Living」を開催(東京/伊勢丹新宿店)
ちゅう右衛門
九谷焼中興の祖九谷庄三の出生地寺井村(現在の能美市)に明治十二年初代上出長右衛門が「長右衛門窯」を開窯した年、同地にてその生をうける。窯元に住むねずみとして、幼い日より職人の技や品物を目にしながら、独学で九谷焼の研究に没頭し百三十年。歴史ある長右衛門窯で唯一匹、その伝統をそのまま保持し、日々努力と情熱を
九谷焼に燃やし続ける。その存在は世間は疎か窯内に於いても長く謎であったが、平成二十年春、百三十年の修行の末陶芸家として人並みの技術を得られた事を理由にその身を明かし、金沢のフリーペーパー誌面にて存在を公表し人々を驚かせる。その後同誌にてエッセイを連載し人気を博している。公表後、その功労が認められ百歳以上の現
役陶芸家からなる日本陶仙会に動物として初めて招かれ名誉会員に推戴される。今年六月、金沢の茶房一笑にて生涯初の作陶展を開催以降、多くのグループ展に参加。平成二十一年、京都H2Oギャラリーにて個展を開催予定。
 
略歴
明治十九年 陶芸を独学にて開始。
明治三十二年 九谷焼絵師・谷文四郎氏に師事。
大正八年 長右衛門窯内にちゅう右衛門陶工房を設立。
昭和九年 手取川が氾濫、陶工房浸水。
昭和二十三年 福井地震が発生、陶工房壊滅。
昭和二十八年 陶工房再建。
昭和五十年 長右衛門窯移転に伴い、陶工房移転。
平成二十年 金澤アートイベントカレンダーイコールにて連載を開始。
日本陶仙会に招喚され名誉会員となる。
平成二十一年 茶房一笑(金沢)にて「ちゅう右衛門翁 大作陶展」を開催。
彗星倶楽部(金沢)にて「夏のうつわあそび」に参加。
SAKESHOP FUKUMITSUYA 玉川店(東京)にて「乙女の金沢展」に参加。
SAKESHOP FUKUMITSUYA 銀座店(東京)にて「NEXT SAKE,NEXT VALLEY」に参加。
桐生再演15(群馬)に参加。
スパイラルガーデン(東京)にてアートフェア「ULTRA002」に参加。
上出惠悟(かみで けいご)
1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。実家である九谷焼窯元上出長右衛門窯でデザインや企画に従事する傍ら石川を拠点に作家としても活動し、「甘蕉」「蛍光管」などを発表した。
「美術とは概念であるから、理想的なかたちをしている。工芸とは手業であるから、現実的なかたちをしている。理想を求めて工芸は美術を志すが、美術性は得られたとしても美術には成れない。工芸には背負うべき大きな制約があり、それに対して美術には制約が何一つ無いからだ。しかし制約があるからこそ工芸は工芸として存在し、自らの強度を高める。私は九谷焼という工芸を素材とし、その制約を引き受けるということを作品としている。」(上出)
 
20100106_garden_kutani-06.jpg個展
2007年 「Para:sideA」pARa:siTe(石川)
2008年 「Para:sideB」pARa:siTe(石川)
2008年 「様式」高木糀商店(石川)
2009年 「美術と工芸」桜華書林(長野)
 
グループ展
2006年 「GIFT,THE STORE」スパイラルガーデン(東京)
2007年 「Montblanc Yong Artist Patronage in Japan」モンブラン銀座本店(東京)
2007年 「桐生再演13」桐生森芳工場(群馬)
2008年 「ハコ展」pARa:siTe(石川)
2008年 「桐生再演14」桐生森芳工場(群馬)
2008年 アートフェア「ULTRA001」スパイラルガーデン(東京)
2009年 「植物のうつわ」G-WING'Sギャラリー(石川)

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