普段お寺でしか聴くことのできない聲明を、スパイラルの近代的空間の中で送る」聲明コンサートシリーズ「千年の聲(こえ)」。第16回目となる今回は、『砂のマンダラ』と題し、ジョン・ケージ作曲による「龍安寺」と藤枝守作曲による「夜の歌」の2作品を、古典の聲明曲を交えた「四箇法用」の形式に折込み上演。
私たちの遠い兄弟、ネイティヴ・アメリカンの神話と砂絵をモチーフにした「夜の歌」と、究極の禅庭を音で表した「龍安寺」。東西二人の作曲家が音で描く砂の宇宙。伝統から現代へと、時代を超えて引き継がれた聲明の魅力を伝えます。
『夜の歌』
作曲:藤枝守(声、吹物、打物、弾物、呪文)
内容:すべて生きるものに、いのちを与えるのは風-ネイティブ・アメリカンのナヴァホ族が唱える創世神話-深い海の底で生まれた風が、五つの層をなした世界に順繰りに吹き込まれ、五番目の地上のトウモロコシに白い風ニルチッイが息を吹き込むと、最初の男と女が生まれた。その創世神話のシャーマンの歌とともに、砂に描かれる宇宙?砂のマンダラ。
『龍安寺』voice version
作曲:ジョン・ケージ(声明、パーカッション)
内容:20世紀を代表する現代音楽の巨匠ジョン・ケージが、日本の禅に触発され書いた「龍安寺」。龍安寺の石庭をもとに、配置された15個の岩の形(稜線)を、グラフィックな線による楽譜として記号化し、音の高低と空間構成を表した。世界各国で上演されているこの曲には、オーボエやフルートなどの楽器と声の楽譜があり、日本で上演される聲明によるヴォイスバージョンの「龍安寺」は、1991年の草月ホールでの伝説的なコンサートから17年振りの再演となった。
構成・演出:田村博巳
演奏:高田みどり(打物)、西陽子(弾物)、石川高(吹物)
聲明:声明の会・千年の聲 迦陵頻伽聲明研究会
新井弘順、川城孝道、孤島泰凡、小路耕徳、斉藤説成、多田康雄、田中康寛、塚越秀成、塚田康憲、戸部憲海、新山尚道、沼尻憲尚、平井和成、守山祐弘
七聲会、海老原廣伸、末廣正栄、杉山幸雄、平田真紹、玉田法信
制作:スパイラル/声明の会・千年の聲/NPO法人魁文舎
主催:声明の会・千年の聲/株式会社ワコールアートセンター
助成:日本芸術文化振興会 舞台芸術振興事業