セドリック・ブレナール展「iGrow」

生命と自然をテーマとした、スイスの若手写真家の初個展

2010 年 7 月 2 日（金）～11 日（日）まで、スイスを拠点に活動する若手写真家、セドリック・ブレナールの個展を開催しました。
1974 年生まれのブレナールは、1998 年にスイス・ヴヴェイの写真学校を卒業し、ローザンヌにアトリエを構えて作品を制作しています。彼の写真は、「種子」や「植物」をクローズアップで撮影し、被写体の細部を露わにすることによって、神秘的な世界を提示します。彼の作品は、私たちの傍に常に存在しながらも、普段は捉える事のできない視覚の世界へと誘います。
彼の作品制作の中心には、「生命はどのようにして潜在的生命力からほとばしりでるのか」という、生命の神秘への問いかけがあります。種子や種子の発芽にこだわり、たたずむ写真家のまなざしは、自然の造形美への深い尊敬の念を湛えています。生命と自然のもっとも美しい表情がゆっくりと時間をかけて写し取られ、巨大サイズに引き伸ばされた種子や若芽は、息をのむほどの存在感を放ち、種子のつぼみはそのはかなげな見かけの下に、花を咲かせる凝縮したエネルギーを携えていることに気づかされるのです。

「iGrow」展では、地球上に存在する二つの大きな力、自然と人間の生きる関係をテーマに展示を行い、人間は自然によって、自身の「自然」を思い出すことができるかの問いが、作品を通して投げかけられました。「iGrow」というタイトルは、どこまでも発達していくテクノロジーと、「I grow(育つ)」、常に次の状態に移り変わろうとする、自然の性質を表わしています。
本展では、彼の作品を「Doors(扉)」、｢Amaryllis(アマリリス)」、「Fly(飛行)」、「Vital Energy(生命のエネルギー)」、「Origin(源)」、「Jungle(ジャングル)」と名付けられたシリーズごとに紹介しました。

■開催概要■
会期：2010 月 7 月 2 日（金）～11 日（日）
会場：スパイラルガーデン（スパイラル 1F）
時間：11:00～20:00
住所：〒107-0062 東京都南青山 5-6-23
TEL： 03-3498-1171(代)
主催：セドリック・ブレナール展 「iGrow」制作実行委員会
協賛：イヴェルトン市、FAP
助成：スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団、イルフォード、サカエ・シュトゥンツィ
　　　基金 ロンザジャパン株式会社、ノバルティス ファーマ株式会社
企画制作：スイス大使館、スパイラル

■プロフィール
セドリック・ブレナール
スイス・ジュラ地方で生まれ育つ。スイス・イヴェトン市（Yverdon）在住。
ローザンヌ市中心のポアン・ルージュ・ギャラリー（Point Rouge Gallery）に自身のアトリエを持つ。

2000－2006 スイス・ヴヴェイ応用芸術学校及びローザンヌの ERACOM
　　　　　　　(芸術・コミュニケーション学校)で IT 及び写真を教授
1998 　　　ヴヴェイ応用芸術学校写真科卒

【主な個展】
2008 アニエス・マルテル・ギャラリー、スイス・パンピニー
2007 エスパス・デュ・リオンドール４、スイス・ローザンヌ
2004 ギャラリー・エスパス・サン・フランソワ、スイス・ローザンヌ
2003 グランジュ・ド・ドリニー・ギャラリー、スイス・ローザンヌ
2002 フランス文化センター、フィンランド・ヘルシンキ
2002 リヴ・ヌーヴ・ヴィルヌーヴ、スイス・ローザンヌ
2002 ギャラリー・アブストラクト、スイス・ローザンヌ
2002 世界貿易センター、スイス・ローザンヌ

【主なグループ展】
2010 スイス・ロマンド・アート展、イヴェルドン市庁舎ギャラリー
2009 コネクション、USEGO、シエール
2008 住まいと庭展、パレドボリュー、美術家協会, ローザンヌ
2003 Mortalis 展、オランダ・ハーグ写真美術館
2002 反戦争のイメージ展、リヒトブリック ギャラリー、ドイツ・ケルン
1998 ペルピニャン・フェスティバル、フランス
1998 スパツィオ・デル・ヴォルタ・ギャラリー、イタリア・ジェノヴァ等多数

■展示作品
Ⅰ、「Doors(扉)」 Series
会場入口に展示された、ひまわりの花が咲いた後に残る萼片で作られた花冠の扉。人間と植物、ふたつの世界へといざなう道を象徴する作品。

Ⅱ、「Amaryllis(アマリリス)」 Series
可憐な花を咲かせる「アマリリス」をモチーフに、9 枚の連続写真の中に、生・死・生という生命の循環を映し出した作品。

Ⅲ、「Fly(飛行)」 Series
壁面に敷き詰められた種子が、新たな成長に適した場所へと風に乗って羽ばたいている。時を超越した生命の「通り道」を表現した作品。

Ⅳ、「Vital Energy(生命のエネルギー)」 Series
種子の核から樹枝状に放射される複雑なネットワークを描いた作品。巨大な種子を貫く光で、生命力の姿そのものを示している。

Ⅴ、「Origin(源)」 Series
日常の中にある植物の世界を見渡し、芯と外殻、内面と光輝く外面を彷彿させる。 自然が膨大なる豊かさと力強さの中にあることを表現している作品。

Ⅵ、「Jungle (ジャングル)」 Series
熱帯雨林を撮影したいくつかの写真を、１枚に合成した巨大な作品。自然と生命の源に満ちる豊かさを表現している。