日々の暮らしにアートがもたらす、こころが沸き立つような体験。日常に取り入れやすい「デイリーアート」を提案しているスパイラルのエントランスでは、注目の陶作家、酒井智也の「 ReCollection 」を開催します。
子どもの頃に 遊んだおもちゃ？深海の生物？人工衛星？ ──見れば見るほど 私たちの 想像力を掻き立てる、酒井智也の作品。ロクロ成形による左右対称のユーモラスなフォルムと陶作品ならではの色と質感は、多くのファンを魅了しています。 今回は、作家自身の意識の底に眠る様々な記憶を引き出し、その断片をつなぎ合わせて再構築を試みる「 ReCollection series 」と、他者の記憶に焦点を当て、その生きた時間を形象化 することを試みた作品「 Heritage series 」を中心に展示します。
会場では、住空間に取り入れやすい10㎝ー30㎝ほどの立体作品を中心に、日常使いできるカップやフラワーベースなど、新作約110点を展示販売いたします。
ぜひ会場で酒井智也のユニークな形象の世界をお楽しみください。
■ 開催概要
TOMOYA SAKAI「ReCollection」
会期：2022.4.4(mon) - 4.14(thu) 11:00-19:00
会場：Entrance（Spiral 1F）
*開催にあたり、スパイラルではお客様およびスタッフの安全と健康に配慮した感染拡大予防対策をとっております。
*開催時の状況により、一部内容を変更する可能性があります。
*営業状況など 詳細はスパイラルウェブをご確認ください。
*作品は、店頭販売を優先といたします。あらかじめご了承ください。
─ReCollection series
ロクロでの制作は、余分な情報から自身を切り離し、瞑想のように作品を作ることができる。頭の中でカオスのように存在している情報や記憶を整理するように、ロクロで制作をしていく。また、力を加えると形を記憶する粘土の可塑性という特徴は、無意識下における身体表現をそのままの形で宿すことができる。つまり、ロクロという技法と粘土という素材を用いる陶芸は、無意識と意識の往還をスムーズに実現してくれる。
これまでロクロによって、無意識的に形態が抽象・単純化された作品を作ってきた。それらには無意識に埋没していた情報、景色、アニメ、映画、様々なイメージが多層的に潜んでいる。その無意識下におけるロクロでの制作後に、脳内に具体的なイメージが立ち現れると、そこからは意識的に、単純化された複数のパーツを再構築していき、最終的な作品が出来上がるのだ。
そうして作られた作品は、私が何によってつくられてきたかを表す象徴であり、自己を保つ手段でもある。私の生きた証拠あるいは時代の記憶を世に提示することが生きる実感になっていく。また、情報化社会に生きる鑑賞者に対して、作品がどんな影響をもたらしていけるのだろうか。私の陶作品では、観る人を意識から無意識へと誘うある種の媒介物として機能することを目指している。作品が何らかの形で自己との繋がりを呼び起こし、埋没していた大切な記憶が蘇ることを願って。
──Heritage series
Heritage series は、他者のもつ何気ない記憶に焦点を当てた作品である。記憶とは、その人が生きてきた証拠であり人生そのものである。しかし、記憶は徐々に薄れてゆき最後にはその人と共に完全に消え去る。私は、歴史に刻まれることなく消えてしまう記憶を救いたい。
今作は、1934年生まれ女性の記憶を元にしている。戦争、貧困、高度経済成長、災害、小さな出会いから忘れられない別れまで、多くの記憶を内に秘めながら生きている。その人の生きてきた記憶を長い時間をかけて聞き取り、少しずつ私の中に取り込んでいく。それらの記憶の断片は粘土とロクロを通して抽象化され、再構築されながら立体物として立ち上がる。そうして生まれた記憶の形は、鑑賞者の記憶を触発し、過去と現在を繋ぎ合わせ新たにそこに存在し始める。
焼成という儀式を通して焼き固められた記憶の断片は、永い時を生き続けることができる。多くの記憶を重ね合わせながら大切な記憶たちを残していきたい。
ロクロでの制作は、余分な情報から自身を切り離し、瞑想のように作品を作ることができる。頭の中でカオスのように存在している情報や記憶を整理するように、ロクロで制作をしていく。また、力を加えると形を記憶する粘土の可塑性という特徴は、無意識下における身体表現をそのままの形で宿すことができる。つまり、ロクロという技法と粘土という素材を用いる陶芸は、無意識と意識の往還をスムーズに実現してくれる。
これまでロクロによって、無意識的に形態が抽象・単純化された作品を作ってきた。それらには無意識に埋没していた情報、景色、アニメ、映画、様々なイメージが多層的に潜んでいる。その無意識下におけるロクロでの制作後に、脳内に具体的なイメージが立ち現れると、そこからは意識的に、単純化された複数のパーツを再構築していき、最終的な作品が出来上がるのだ。
そうして作られた作品は、私が何によってつくられてきたかを表す象徴であり、自己を保つ手段でもある。私の生きた証拠あるいは時代の記憶を世に提示することが生きる実感になっていく。また、情報化社会に生きる鑑賞者に対して、作品がどんな影響をもたらしていけるのだろうか。私の陶作品では、観る人を意識から無意識へと誘うある種の媒介物として機能することを目指している。作品が何らかの形で自己との繋がりを呼び起こし、埋没していた大切な記憶が蘇ることを願って。
──Heritage series
Heritage series は、他者のもつ何気ない記憶に焦点を当てた作品である。記憶とは、その人が生きてきた証拠であり人生そのものである。しかし、記憶は徐々に薄れてゆき最後にはその人と共に完全に消え去る。私は、歴史に刻まれることなく消えてしまう記憶を救いたい。
今作は、1934年生まれ女性の記憶を元にしている。戦争、貧困、高度経済成長、災害、小さな出会いから忘れられない別れまで、多くの記憶を内に秘めながら生きている。その人の生きてきた記憶を長い時間をかけて聞き取り、少しずつ私の中に取り込んでいく。それらの記憶の断片は粘土とロクロを通して抽象化され、再構築されながら立体物として立ち上がる。そうして生まれた記憶の形は、鑑賞者の記憶を触発し、過去と現在を繋ぎ合わせ新たにそこに存在し始める。
焼成という儀式を通して焼き固められた記憶の断片は、永い時を生き続けることができる。多くの記憶を重ね合わせながら大切な記憶たちを残していきたい。
酒井智也
■ プロフィール
酒井 智也 ／ Tomoya Sakai
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