日々の暮らしにアートがもたらす、こころが沸き立つような体験。日常に取り入れやすいデイリーアートを提案をしているスパイラルのエントランスでは、松尾郁子による展示『脈絡のない宝物』を開催いたします。
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私のアトリエはダイニングテーブルです。
朝ごはん、昼ごはん、晩ごはん、が並ぶテーブルです。
温かさと、自分だけのスペースがないという少しの不便が同居する場所です。
ここにあるのは私の1 年間の日記のような絵です。
目や鼻や口や耳や皮膚が喜び、思わず日常から拾い上げたものです。
〈カーテンがつくる曲線〉
〈息子が憧れているメロンソーダ〉
〈庭の風景〉
〈淡雪のように溶けたメレンゲ菓子〉
〈お絵かき教室で作った課題〉
等々
一枚一枚の絵を卵を孵すように描きました。
生活の中から立ち上がってくるモチーフと想像の断片。
内と外、具体と抽象、自然と人工、日常と非日常、平面と立体、装飾と物質、自分と人
対極にあるようなものが混ざり合い繋がっていく世界を見てみたいと思いました。
日本画の画材である岩絵具は、そのもの自体で既に魅力的なもの。
できるだけ、素材の邪魔をしないように描こうと心掛けました。
フレームは光を通し光を重ねるオリジルで制作したアクリル製。
粒粒した岩絵具と合わせて、部屋の置く場所や時間によって表情を変えてくれるはずです。
日本画というオブジェクトを身近に感じ、そばに置いていただけたら嬉しいです。
脈絡のない宝物、並べることで初めて現れる世界。
一緒に楽しんでご高覧いただけますように。
松尾郁子
脈絡のない宝物 松尾郁子日本画展
会期:2023.6.1(sat) -6.16(sun) 11:00-19:00
会場:Entrance(Spiral 1F)