現代精鋭作家の技術に焦点を当てながら、美濃桃山陶の古典復興から現代への系譜を辿る
本展は、荒川豊蔵の作品と桃山時代の陶片の特別展覧をはじめ、受け継がれる技術に焦点を当て、「志野」を国指定重要無形文化財保持者(通称「人間国宝」)の鈴木藏、「瀬戸黒」を国指定重要無形文化財保持者(通称「人間国宝」)の加藤孝造、そして「⻩瀬戸」を岐阜県指定重要無形文化財保持者の安藤日出武の作品をもって紹介します。
また、先人たちの技を継承しつつ、新たな表現で美濃桃山陶を牽引する、公益社団法人美濃陶芸協会の代表作家作品約20点を展示し、令和の景色を映し出します。
〈公益社団法人美濃陶芸協会とは〉
美濃桃山陶の伝統を受け継ぎ本物の技術の研鑽を重ね、時代とともに新たな表現を追求する陶芸作家集団。岐阜県美濃地方を基盤に活動している。公式HPはこちら
美濃桃山陶 令和の景色
会期:2023.3.17(fri) -3.21(tue) 11:00-20:00(最終日は19:00まで)
会場:Spiral Garden(Spiral 1F)入場無料
主催:株式会社クオリアート
協力:公益社団法人 美濃陶芸協会、岐阜県現代陶芸美術館、荒川豊蔵資料館(可児市)
※文化庁令和4年度首都圏伝統工芸技術作品展等開催事業の委託事業です
お問い合わせ先(電話):03-5792-4408(株式会社ライブス)
お問い合わせ先(Email):press@lives.ne.jp(株式会社ライブス)
◇ご案内:本展では、一部の作品を除き個人的かつ非商業的な利用目的に限り、写真撮影が可能です。ただし、フラッシュ や三脚の使用は禁止しております。撮影ご希望の方は、会場にて各種ルール(フラッシュや、三脚の使用禁止等)をご確認の上、係員にお申し出ください。
ー美濃桃山陶について 歴史、技法、復興小史
ー美濃桃山陶 伝統技法と代表作品展示
ー美濃桃山陶作品展 公益社団法人美濃陶芸協会精鋭作家作品展
<出展予定一覧>
故)荒川豊蔵 / 文化勲章・文化功労者 国・重要無形文化財「志野」「瀬戸黒」保持者
鈴木藏 / 国・重要無形文化財「志野」保持者 日本工芸会正会員
加藤孝造 / 国・重要無形文化財「瀬戸黒」保持者 日本工芸会正会員
安藤日出武 / 岐阜県重要無形文化財保持者(⻩瀬戸) 日本工芸会正会員
玉置保夫 / 岐阜県重要無形文化財保持者(織部) 日本工芸会正会員
林正太郎 / 岐阜県重要無形文化財保持者(志野) 日本工芸会正会員
七代加藤 幸兵衛 / 岐阜県重要無形文化財保持者(三彩) 日本工芸会正会員
林恭助 / 土岐市無形文化財保持者(⻩瀬戸) 日本工芸会正会員
堀俊郎 / 可児市無形文化財保持者(志野) 日本工芸会正会員
安藤工 / 公益社団法人美濃陶芸協会会⻑ 日展会員
曽根洋司 / 公益社団法人美濃陶芸協会副会⻑ 日展会員
阪口浩史 / 公益社団法人美濃陶芸協会副会⻑
加藤三英 / 公益社団法人美濃陶芸協会副会⻑
黑岩達大 / 公益社団法人美濃陶芸協会副会⻑ 日本工芸会正会員
川合正樹 / 公益社団法人美濃陶芸協会監事
東正之 / 公益社団法人美濃陶芸協会理事 日本工芸会正会員
冨岡大資 / 公益社団法人美濃陶芸協会理事
細川令子 / 公益社団法人美濃陶芸協会理事
山口美智江 / 公益社団法人美濃陶芸協会理事
美濃桃山陶 安土桃山時代 陶片(可児市久々利大萱出土、土岐市元屋敷陶器窯跡出土) 荒川豊蔵資料館所蔵
1.トークセッション(参加可能人数:30名)
日時:2023年3月18日(土) 14:00〜(1時間程度)
場所:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
出演:三輪嘉六(九州国立博物館初代館⻑)、 安藤工(公益社団法人美濃陶芸協会会⻑)
タイトル:「美濃桃山陶-日本の美意識と受け継がれる技」
2.ギャラリートーク(展示解説)(参加可能人数:10名)
日時:2023年3月18日(土)13:00〜 、3月19日(日) 13:00〜(30分程度)
場所:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
出演: 阪口浩史(公益社団法人美濃陶芸協会 副会⻑)他
【ご予約方法】
メール、Instagram DMのいずれかにて受付中。
下記アドレスより、お名前と参加人数を明記の上、お申し込みください。
メール:press@lives.ne.jp
Instagram:@minomomoyamato
国宝が生まれた地の技術、最前線
やきものには「景色」という言葉があります。窯の炎から生まれた表情のことで、高温による土の色の変化、釉薬が熔けて流れたさま、また、作品全体の造形や印象をも表す言葉で、日本独自の「美的感覚」とも言われています。この言葉は、日本の陶磁史上最も華やかであったといわれる安土桃山時代にそのルーツをたどることができます。この桃山期に岐阜県東濃地域一円(※1)で焼かれたやきものは「美濃桃山陶」と呼ばれ、現在、国宝に指定された国産の2つの茶碗の内ひとつは、その代表作でもあります。
1300年前の須恵器から窯に炎をともし続けたこの地は、安土桃山時代に茶の湯が流行した追い風を受け、30年程の間にそれ以前の造形様式の概念にとらわれない、自由な発想と斬新な意匠をやきものに込めました。そして日本で初めて白い釉の下に筆で絵や文様を描いた「志野」をはじめ、「⻩瀬戸」や「瀬戸黒」、「織部」がうみだされ、さまざまな景色で日本のやきもの史を彩ったのです。
桃山期以降は一旦途絶え、その後⻑い間ヴェールに包まれていたものの、1930(昭和5)年、陶芸家・荒川豊蔵が志野筍絵筒茶碗の陶片を発見したことを契機に、荒川豊蔵をはじめとする作家たちが、美濃桃山陶を復興しました(※2)。その技術は、現在、国の重要無形文化財として、また、岐阜県の重要無形文化財として受け継がれ、約400年の時を超え日本の美意識を今に伝えています。
※1:岐阜県 東濃地域一円:多治見・瑞浪・土岐・恵那、可児の一部を含む
※2:当初、美濃桃山陶は瀬戶(愛知県)で焼かれたと考えられていました。1930(昭和5)年、陶芸家・荒川豊蔵(1894-1985)が岐阜県可児市久々利大萱の古窯跡から志野筍絵筒茶碗の陶片を発見したことを契機に、これらが美濃で焼かれていたことが明らかとなり、荒川豊蔵をはじめとする作家たちによって研究がすすめられ、美濃桃山陶の再興をめざしました。