キオクハトキカ
この情報量過多の時代に誰かの記憶に残るような展示をしたいという
ギャラリーの趣旨で集まった5人のアーティスト作品展です。
関根直子
建築的、物質的要素の構成が作品上にイメージを立ち上げてゆくような作品を制作している。その為、作品は抽象的であると同時に“実態的、体験的”である。特にMirror Drawingのシリーズにおいて、鉛筆によるドローイングでありながら強い鏡面を持った作品を展開させており、画面上の鉛筆の線、切り込んだパネルの物理的な線、そして映り込んだ鑑賞者の影や空間そのものがこの絵の変容してゆく像として捉えられている。こうした制作方法はアメリカ、ヒューストンにあるRothko Chapelやフランスの古い洞窟壁画などを訪れた経験や、文楽(日本の伝統芸能)における演劇全体の構造等からインスピレーションを受けており、それぞれの視覚的なイメージではなく、それらの本質的な構造の在り方に関心を寄せ、影響を受けている。
保井智貴
乾漆や螺鈿など日本の伝統技術を用いた彫刻作品の制作を行う。忙しない現代社会のなかで、人間がつくり出す穏やかな瞬間に目を向け、その佇まいや空気感を内包するような人物彫刻を通して、自然の本質を表現することを試みている。また木材のキューブを組み合わせた人物彫刻、螺鈿とアクリルキューブの彫刻、空間と人物像を町と家に置き換え彫刻に見立てる「まちにある家という彫刻」というプロジェクトなど、空気感に対するアプローチは広がりを見せている。
松原健
松原は80年代よりニューヨークを拠点として写真やオブジェを使ったアート作品を発表してきたアーティストです。帰国後も映像、写真、オブジェを組み合わせ、海外での活動を主に、人々の心の奥底に沈む記憶を反復される映像の「ゆらぎ」によって呼び覚ます作品を作り続けています。また、ニューヨークの MW Editions より出版された作品集の販売もしております。
手塚愛子
絵画の不可逆な構造を解明する方法として、生成過程を巻き戻しできる織物や刺繍に着目し、糸を解くことでその構造を表出させる独自の手法で制作を行う。国内外で高い評価を受け、近年はベルリンを拠点に活動。スパイラルガーデンでは過去に、2007年「薄い膜、地下の森」、2019年「Dear Oblivion – 親愛なる忘却へ」と題した個展を開催。日本と西欧、美術と工芸、近代と現代、過去と現在、それぞれの出会い、あるいは分岐についての考察から生まれた作品を展示します。
袴田京太朗
初期はベニヤ板やメッキ鋼板など、工業製品による空洞をもった彫刻作品を発表し、様々に素材をえながら一貫して彫刻の本質を追究している。近年は「複製」をテーマに、既製品の一部にカラフルなアクリル板を重ね合わせた人型のシリーズを制作。彫刻の表面とその内部、本物と偽物の関係性を問う。
キオクハトキカ
会期:2023年10月13日(金)〜10月25日(水)11:00〜20:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル 1F)
東京都港区南青山5-6-23
入場無料
主催:MA2 Gallery
会場協力 : 株式会社ワコールアートセンター
お問い合わせ:MA2 Gallery 03-3444-1133
www.ma2gallery.com