類い稀な色彩感覚を持つ、曽谷朝絵の色と光に溢れる世界が今春、スパイラルに出現 !
観賞者を優しく包み込んでくれる、色彩と光に溢れた作品を制作する現代美術作家 曽谷朝絵。その活動は平面作品のみならず、色彩と空間が共鳴し合うインスタレーションやパブリックアートなど幅広いジャンルに及んでいます。
会場では、コロナ禍で都市の空き地に生い茂るようになった雑草からインスパイアされた作品群、水彩やパステルによる新作のほか、油彩の大作や会場の光溢れるガラス面を生かした新作インスタレーションなど、類まれな色彩感覚を持つ曽谷朝絵の多彩な活動を総体的にご紹介いたします。また本展は、曽谷の創作のアイディアの源となっているドローイングの数々を、この度、展覧会で初めてまとまった形で公開する貴重な機会となります。
雑草や水を湛えた洗面器、部屋に差し込む光など、日常の何気ない景色が曽谷の手により柔らかで鮮やかな色と光となって奏でられる世界をお楽しみください。
本展の見どころ
アトリウムに展示される28枚の連作《Washbowl》と油彩の大作《fuwari》
スパイラルガーデンのアトリウムを囲む螺旋状のスロープの壁には、ほぼ実物大の洗面器をモチーフに描かれた《Washbowl》のシリーズが展示されます。パステルで描かれた28枚から成るこのシリーズは、水を湛えているものや空っぽのものなど様々な状態の洗面器に光が差し込み乱反射するさまを、夜から朝、昼、夕暮れ、夜と徐々に日が移り変わる様子と、新月から満月までの月の満ち欠けのイメージを重ね合わせています。そして、自然光が降り注ぐ中央の空間には2.4メートル×4メートルの曽谷が手がけたサイズとしては最大級である油彩の大作《fuwari》が《Washbowl》の天体に囲まれた巨大な光の海として出現します。
コロナ禍により変容した都市の風景を描いた植物のシリーズ《Bloom》《Spring burst》
曽谷はいつもの散歩道で、ある日、雑草が頭上高くからジャングルのように繁っているという異様な光景を目にします。コロナ禍で開発事業がストップした空き地から、さまざまな種類の雑草が枝葉を広げる様子は「美しいだけでない暴力的なまでのエネルギー」や「都市と自然のパワーバランスの危うさ」を感じたと話します。これらからインスパイアされた《Bloom》《Spring burst》などのシリーズは、都市の隙間に生い茂る雑草のように、コロナ禍で私たちの心に生まれた隙間にも人工的に刈り込まれていない、野性的なクリエイションに満ちた何かが生えてきているはずだという思いが込められた作品です。
曽谷朝絵の散歩コースを作品で辿るように構成された展示会場
「雑草の森をとことこ抜けると、天体に囲まれた海に出てふわりと浮かぶ──。」これはコロナ禍になってから頻繁に通ったという、曽谷お気に入りの散歩コースの様子です。展覧会会場は、タイトル「とことこふわり」のように、曽谷が散歩道で目にした世界を作品を通して鑑賞者が体験できるように構成されています。太陽の光が降り注ぐ昼間、日が暮れ始める夕方、日没後の夜の景色など、一日のなかで表情を豊かに変化させる作品をのんびりと散歩をするようにご鑑賞いただけます。
曽谷朝絵展「とことこふわり」
会期:2022年3月24日(木)-4月4日(月)
開催時間:11:00-20:00
会場:Spiral Garden(Spiral 1F)
・主催、企画制作:曽谷朝絵展実行委員会
・キュレーター:難波祐子
・会場構成:番場俊宏(株式会社エイバンバ)
・企画協力:スパイラル
・会場協力:株式会社ワコールアートセンター
・特別協賛:株式会社 FREEing
・協賛:株式会社カネカ
・助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
公益財団法人野村財団
公益財団法人 小笠原敏晶記念財団
・協力:株式会社協進印刷
株式会社中川ケミカル
西村画廊
・後援:横浜市文化観光局