環境・生物・物・時間・歴史・色・文字、あらゆる記憶を取り入れ「SPREAD=広げる」ことを軸に「カラーとコンセプト」を特徴にしたグラフィック、プロダクトなどのデザイン&ディレクションを行うSPREAD。“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを信条に、クライアントワークをはじめ、2004年から続けている人々の生活の記録をストライプ模様で表すアートワーク「Life Stripe」や、未来を考えるヒントを探ることを目的にした独自のリサーチ活動など、常に社会提案を起点にクリエイティブ活動を行ってきました。
2020年、当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウィルスのパンデミック。社会の状況や人々の思考が大きく変わりだしたこの1年、SPREADの二人もまた多くの思考をめぐらせ、感情と向き合う時間を過ごしてきました。 彼らの気持ちを突き動かすものは?
「色は喜び」というコンセプトのもと、SPREADの特徴でもある“色”を媒体に、今年9月にイタリア・ミラノで開催したデザインプラットフォーム「ALCOVA」のイベントにて、注目を集め、大きな反響を得た新作アートワークとともに、近年国内外で発表した作品を展示いたします。
2020年の終わりに近づいたある日、年始状の印刷立会いをしていた。年始状は、その年を振り返りつつ次の年への願いを伝える便り。一枚一枚丁寧に色が乗っていく活版印刷は何故だか普段より時間がゆっくり流れ、立ち合いをしながら想いを巡らせていた。
思い返すと、2020年は今まで体験した中で一番ハードな年だったかもしれない。オリンピックなんてやれるはずもなかった。1年経った今も、未だに先が見 えないいくつもの厄介が重なっていて、時代の変わり目に生きていると言っても過言ではないのではないか?
それまでの当たり前ができなくなり、今を乗り越えるために「待つしかない」というような暗く重い空気が、世界を覆ってしまったように思う。それは仕方がないことで、どうしようもないこと。でも本当に怖いのは、その渦に無意識に飲みこまれてしまうこと。自らで抗わないと、渦に飲みこまれてしまう。
この日の穏やかな日差しと、色鮮やかな印刷インキが、私たちを突然決心させた。 「新しい作品をつくろう。沈んでいる(自分と)世界に色で喜びを生み出したい。」
そのときの想いから、この展覧会は始まっている。媒介にしているのは「色」。体験していただきたいのはその記憶から広がる想像力。活版印刷された色が私たちの心を動かしたように、色には人間の感覚や感情を揺り動かす力がある。心の内側から何かが湧き上がる。その何かは思考はドライブし、世界を広げる。
社会の出来事に向き合い創作することで、状況に働きかけ体験を生み出してきた。体験を通して、想像の力が社会に育つことを目指してきた。それはどんな時でも人間を救う力。暗く重い渦に飲み込まれそうなときに、豊かな場所に連れていってくれる。私たちはそのトリガーを引きたいと常々願っている。
この展覧会を、風景や動植物を眺めるようにゆっくり見てごらん。それが何に見えてもかまわない。人は違う。生まれも育ちも、状況はすべて違う。違うからこそ美しいし、わかりあうための想像力がある。その一方で、色を見たときに一人一人の内面から湧き上がる喜びがある。
明日は何色? それぞれ個別の全ての人に、たくさんの愛と平和、そして喜びを。
SPREAD 山田春奈 小林弘和
本展覧会に合わせ以下のコラボレーションを展開します。
SPREAD by SPREAD 明日は何色?
会期:2021年10月27日(水)-11月7日(日)11:00-20:00
会場:Spiral Garden
東京都港区南青山 5-6-23 スパイラル1F
入場無料
*入場制限がある場合があります。
*開催にあたり、会場ではお客様およびスタッフの安全と健康に配慮した感染拡大予防対策をとっております。
* 開催時の状況により、一部内容を変更する可能性があります。
*営業状況など 詳細はスパイラルウェブをご確認ください。
https://www.spiral.co.jp/topics/spiral/2
主催:SPREAD
企画協力:スパイラル
会場協力:株式会社ワコールアートセンター
施工協力:株式会社脇プロセス
協力:株式会社竹尾/東洋化成株式会社/株式会社ライブアートブックス/株式会社MGNET/PRINT + PLANT/Uttzs
協賛:株式会社NBCメッシュテック、クラウドファンディング賛同者
※クラウドファンディングGREENFUNDINGを通じ、作品集の制作・個展開催にかかる費用の一部のご支援をいただきました。
後援:長岡造形大学