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ケンチクトークセッション「都市のパブリックをつくるキーワード」

2018.7-11

建築家が公共的な建築に取り組むとき、どんなことを考え、何を理想としているのでしょう。

1985年に創業したスパイラルは、都市における公共空間を思考・実践してきた槇文彦氏によって設計されました。民間の複合文化施設でありながら、人々が思い思いに過ごすためのエスプラナードと名付けられた立体的な街路空間を屋内に取り込み、またそのシークエンスの中で文化と出会うということが意図されています。
それから30年以上が経過し、建築を取り巻く環境、役割も少しずつ変化してきました。グローバル化は都市間競争をドライブさせ、都市経営的視点は官民の協調的な開発を生み出してきました。同時に人口減少局面を迎え、各地に発生している空き家などの空間的余白を、コミュニティ形成を促す場としてマネジメントすることも求められています。

あらゆる分野における情報化、製造環境の変化、AIなどの人そのものの拡張を迫るような技術革新が、建築に新しい可能性を突きつけています。そのような多面的な変化を前に、今、改めて都市における公共空間としての建築の有り様とその意義を問い直したいと思います。

本連続講座では、実際に各地の公共建築の設計に取り組んでいる建築家をお招きし、実践を通した思考にふれるとともに、これからの都市に求められる公共空間を考える上でのキーワードを探っていきます。

すでに建築に興味のある方も、これから深く知ってみたいという方も是非ご参加ください。

■ プロフィール
ー第1回ー 乾久美子
1969年大阪府生まれ。92年東京芸術大学美術学部建築科卒業、96年イエール大学大学院建築学部修了。96~2000年青木淳建築計画事務所勤務。00年乾久美子建築設計事務所設立。00~01年東京芸術大学美術学部建築科助手、11年東京芸術大学美術学部建築科准教授、16年横浜国立大学大学院Y-GSA教授。08年新建築賞(アパートメントI)、10年グッドデザイン金賞、11年JIA新人賞、12年BCS賞(日比谷花壇日比谷公園店)、12年第13回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展「金獅子賞」、15年日本建築学会作品選奨(Kyoai Commons)、17年日本建築学会作品選奨(七ヶ浜中学校)。
ー第2回ー 西田司
建築家/オンデザイン
1976年神奈川生まれ。使い手の創造力を対話型手法で引き上げ、様々なビルディングタイプにおいてオープンでフラットな設計を実践する設計事務所オンデザイン代表。建築分野におけるコミュニケーションの可能性を探る実践をおこなっている。
主な仕事として、「ヨコハマアパートメント」(JIA新人賞、ベネチアビエンナーレ日本館招待作品)、「ISHINOMAKI 2.0」(グッドデザイン復興デザイン賞、地域再生大賞特別賞)、島根県海士町の学習拠点「隠岐国学習センター」。著書に「建築を、ひらく」「おうちのハナシ、しませんか?」「オンデザインの実験」
ー第3回ー 藤村龍至
建築家/ソーシャルアーキテクト
1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所(現RFA)主宰。2010年より東洋大学専任講師。2016年より東京藝術大学准教授。2017年よりアーバンデザインセンター大宮(UDCO)副センター長/ディレクター、鳩山町コミュニティ・マルシェ総合ディレクター。
住宅、集合住宅、公共施設などの設計を手がけるほか、公共施設の老朽化と財政問題を背景とした住民参加型のシティマネジメントや、ニュータウンの活性化、中心市街地再開発などのデザインコーディネーターとして公共プロジェクトにも数多く携わる。主な著書に『批判的工学主義の建築』(2014)、『プロトタイピング—模型とつぶやき』(2014)
〈ファシリテーター プロフィール〉 川勝真一
RADディレクター/建築リサーチャー
1983年生まれ。京都工芸繊維大学大学院博士後期課程在籍。京都精華大学非常勤講師。2008年に建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト RAD(Research for Architectural Domain)を設立し、建築の展覧会キュレーション、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じた、建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。

■開催概要


開講日:
※全回終了いたしました。
第1回 2018年7月8日(日)13:30-15:30(13:00開場)
第2回 2018年9月24日(月・祝)17:00-19:00(16:30開場)
第3回 2018年11月18日(日)17:00-19:00(16:30開場)
※講座終了後に簡単な懇親会も開催予定。
※11月18日同日開催(13:00-16:00):表参道ケンチク散歩

会場:スパイラルルーム(スパイラル9F)
   東京都港区南青山5-6-23
受講料:
各回 一般 3,000円(税込)/学生 2,500円(税込)
3回通し 一般 8,500円(税込)/学生 7,000円(税込)
定員:各回40名

お問い合わせ先: Spiral Schole(スパイラル スコレー)担当 03-3498-1171
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
コーディネート:RAD
 

〈 これまでの講座 〉
第1回(7/8):乾久美子(乾久美子建築設計事務所主宰)
【キーワード】余白の使い直し/共感/寛容
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- web掲載記事はこちら(外部サイト)

第2回(9/24):西田司(オンデザイン代表)
【キーワード】一人で居ても楽しい
建築を「開く」ことで、新しい場所性の獲得を試みるon designの西田司さん。震災をきっかけに関わることになった宮城県石巻市では地域の人を巻き込みながら開かれたコミュニティづくりに取り組み、on designが拠点とする横浜でも野球スタジアムを野球ファンだけでなく公益性という観点から地域住民、観光客に開くことで街の風景を変える取り組みを進めておられます。そこには、その街ならではの小さな共感の渦を広げていくという、公共への現在的なアプローチが存在しているようです。
トークでは、そうした小さな共感を生むための建築的実践について、西田さんが訪れた各地の事例も交え、じっくりお話いただきました。また会場となっているスパイラルにも目を向け、この建築が持つ公共性の背後にはどのような共感が存在しているのかを、青山という街との関係から考察を試みました。後半には参加いただいた皆さんと一緒に、賑わいだけでない、各々が暮らす街にふさわしい公共的な場のあり方について議論していきました。
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第3回(11/18):藤村龍至(建築家/ソーシャルアーキテクト)
【キーワード】離散的な公共空間
2011年にスタートした《鶴ヶ島プロジェクト》以来、公共建築の設計をソーシャルデザインプロジェクトとして取り組んできた藤村さん。その特徴は、パブリックミーティングと来場者による投票を複数回おこなうというプロセスにあります。そうすることで、市民一人ひとりの理解を深めながら、設計を進め、よりよい建築へと結びつけます。
興味深いのは、こうしたプロセスを採用することで、建築を生み出す過程でのさまざまな出来事を、社会の課題を解決するための有効なツールとして考え、ひいては「新しい民主主義の練習の場」と位置付けていることです。
トークセッションでは、民主主義と公共性の関係を念頭に起きつつ、ひとりの建築家によるのではない「集合知」をベースとした参加型の建築プロジェクトが、現在においてどのような建築を生み出すのか、そしてそれは都市の公共性にどのように寄与するのか議論していきました。
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▶「Spiral Schole」について
スパイラルと運営母体のワコールが共同で推進するエデュケーションプログラム。開館30周年を記念し、2015年4月にスタートしました。本プログラムでは、スパイラルとワコールがこれまでに培ったノウハウとネットワークから選び抜いた、経験豊かなプロフェッショナルを講師として迎え、様々なニーズに合わせた講座を実施しています。
http://www.spiralschole.com

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