建築家が公共的な建築に取り組むとき、どんなことを考え、何を理想としているのでしょう。
1985年に創業したスパイラルは、都市の公共空間について考え続けてきた建築家の槇文彦氏によって設計されました。民間の文化施設でありながら、人々が思い思いに過ごすためのエスプラナードと名付けられた立体的な街路空間を屋内に取り込み、特に目的がなくても自由に館内を歩き回り、そこで文化と出会うことが意図されました。
それから30年以上が経過し、私たちの暮らしを取り巻く状況は大きく変化しました。グローバル化やオリンピックに合わせた大規模な都市改造、高齢化や空き家の増加などと共に公共空間に期待される役割や、そのつくられ方、運営方法も変わってきました。住民参加のワークショップによって、地域住人の参加を促し、コミュニティ形成の核をつくる。住人のニーズをすくい取ることで集客力を高め、より良いサービスを実現する、などなど。加えて、センサー技術の向上やAIの普及は、都市のあり方を根本的に変える可能性も示しています。そのような多面的な変化を前に、今、改めて都市における公共空間としての建築について考えたいと思います。
本連続講座では、実際に各地の公共建築の設計に取り組んでいる建築家をお招きし、それぞれの実践を通した思考にふれながら、これからの都市に求められる公共空間のキーワードを探っていきます。
すでに建築に興味のある方も、これから深く知ってみたいという方も是非ご参加ください。
人はそれぞれ自分自身の物語を持つことで、人生に意味を見出し、生きていくことができるのではないでしょうか。大西麻貴+百田有希/o+hは、機能や大きさに関わらず、どこかユーモラスで懐かしさを喚起するような形態と手触りのある表現によって、人々の想像力を喚起し、そこに物語の存在を感じさせる建築を生み出してきました。これからのパブリックな空間は、万人に受け入れられる理想や表現よりも、このような一人一人が自身の物語を生きることができる場所になるのではないか。と同時に、それらの物語が個人的なものにとどまらず、開かれた場で共有されることは可能なのでしょうか。ゲストの大西麻貴さんとともに、この物語のある(を喚起させる)風景がどのようにデザインされ、どのようなパブリックが育っていくのかについて考えたいと思います。
シェアハウス、シェアオフィス、シェアカー、シェアサイクルなどなど。個人で所有するのではなく、みんなでシェア(共有)することによって生まれる豊かさや便利さを享受する暮らしは、今や当たり前のものになりつつあります。そんなシェアが生み出す価値にいち早く着目し、人々がシェアする場のデザインに取り組んできたのが、成瀬・猪熊建築設計事務所の成瀬友梨さんと猪熊純さんです。このシェアという現代的な価値感から改めてパブリックを捉え直し、現代におけるパブリックの可能性に迫りたいと思います。特に、ある程度限定された場とメンバーを前提として成り立つシェアが、どのようなパブリックさを生み出すのか。猪熊純さんと一緒に、プライベートとパブリックの二項対立を超えた、シェア空間から広がるパブリックな風景を探りたいと思います。
開講日:
第4回 2019年8月25日(日)17:00-19:00(16:30開場) ※終了しました。
第5回 2019年10月26日(土)16:30-18:30(16:00開場)※終了しました。
※第5回について、ゲストの都合により開催時間が変更となりました。何卒ご了承ください。
会場:
スパイラルルーム(スパイラル9F)
東京都港区南青山5-6-23
受講料:
各回 一般 2,500円/学生 2,000円(税抜)
2回通し 一般 4,500円/学生 3,500円(税抜)
交流会 500円(税込・1ドリンク付き)
※先着20名。講座終了後、同会場にて1時間程度開催予定。定員に達しない場合のみ当日受付も可能です。
定員:
各回40名
お問い合わせ先: Spiral Schole(スパイラル スコレー)担当
03-3498-1171
school@spiral.co.jp
主催:株式会社ワコールアートセンター
企画制作:スパイラル
コーディネート:RAD
〈 これまでの講座 〉
2018年 第1回:乾久美子 第2回:西田司 第3回:藤村龍至
▶「Spiral Schole」について
スパイラルと運営母体のワコールが共同で推進するエデュケーションプログラム。本プログラムでは、スパイラルとワコールがこれまでに培ったノウハウとネットワークから選び抜いた、経験豊かなプロフェッショナルを講師として迎え、様々なニーズに合わせた講座を実施しています。
http://www.spiralschole.com