左上)久保寛子『土頭(つちあたま)』(右上)市原えつこ『デジタルシャーマン・プロジェクト』
(左下2点) スクリプカリウ落合安奈『KOTOHOGI』(右下)桝本佳子『橘/皿』
スパイラルは、若手女性アーティストを中心に紹介する展覧会シリーズ「Ascending Art Annual」を2018年7月19日(木)—8月5日(日)までスパイラルガーデン(スパイラル1F)にて開催いたします。
第2回目のテーマは「まつり、まつる」。「祭り」、「奉り」、「祀り」、「政り」、「纏り」など、さまざまに表される「まつり」は、神を祀る(まつらう)から派生し、祈祷・祝祭はもとより、政治や衣服、そして関係性を尊ぶなど多様な意味を持ちます。
産業を取り巻く構造が変化し、土地や慣習に暮らしが縛られない現在。アーティストたちは、祭礼や偶像崇拝、文様などに向き合い、場と時と人々を独自の手法でつなぎ直そうと試みています。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など便利さが優先される時代に、あえて不合理な営みを取り入れ、共感や興奮、畏怖、時に反発などの感情を生み出す「まつり」は、新たな共同体の維持装置になりえるのでしょうか。
本展では、フィールドワークやリサーチに基づき、メディアアートや彫刻、写真、陶磁器など、それぞれの技法で作品を制作する、市原えつこ、久保寛子、スクリプカリウ落合安奈、桝本佳子の4組を紹介。私たちの足元にある文化を紐解き、歴史と対話しながらも、既存の枠組みにとらわれない発想と柔軟な切り口から生まれる作品の数々。アーティストたちの試みの先に広がる、現代社会における「まつり」の可能性をぜひお愉しみください。
「Ascending Art Annual」とは
スパイラルの建築空間が持つ「螺旋状に上昇していくイメージ」を体現する、
今後の活躍が期待される若手女性アーティストを中心に紹介、発信していく展覧会シリーズ。
運営母体である株式会社ワコールが掲げる「女性共感企業」の実現に寄与します。
開催概要
若手女性作家グループ展シリーズ
Ascending Art Annual Vol.2
「まつり、まつる」
会期 2018 年7 月19日(木)— 8月5日(日) 11:00—20:00 会期中無休
会場 スパイラルガーデン(スパイラル1F)
東京都港区南青山 5-6-23
東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線「表参道」駅 B1、B3 出口すぐ
お問い合わせ 03-3498-1171(スパイラル代表)
URL http://www.spiral.co.jp/aaa2
入場無料
主催 株式会社ワコールアートセンター
企画制作 スパイラル
企画協力 ワコールスタディホール京都
協力 ISID イノラボ、九州国立博物館、大塚オーミ陶業株式会社、長岡市
本展は東京展をスパイラルガーデン(スパイラル1F)にて開催し、その後、2018年10月4日(木)− 11月24日(土)まで京都(ワコールスタディホール京都 ギャラリー)に巡回します。
◼️出展作品
市原えつこ
アルスエレクトロニカ賞の Honorary mention(栄誉賞)を受賞した、 家庭用ロボットに故人の人格、顔、口癖、しぐさを憑依させ、新しい弔 いの形を提案する『デジタルシャーマン・プロジェクト』のほか、秋田 県・男鹿市 おがし で伝承されてきた 「ナマハゲ行事」のシステムを都市に再 構成、実装を試みるプロジェクト『都市のナマハゲ』、3D プリントでつ くられた縄文土器に向かい、家庭用ロボットが祝詞 のりと を読み上げる新作プ ロジェクトのそれぞれの実機や映像を展示します。
久保寛子
段山に古代文明が存在したという架空の話を設定し、人体や建造物の断 片、動物を立体にした、瀬戸内国際芸術祭 2016 出展作品『段山遺跡群』 より、信仰の対象となる偶像を破壊する時に残る二本の足から着想を得 たという作品と、人体の頭部を象った『土頭(つちあたま)』を スパイラルの円形の吹き抜け空間とエントランスにそれぞれ再構成します。
スクリプカリウ落合安奈
「日本(東洋)とルーマニア(西洋)の2つの国に両親を持ち、日本と いう島国で育った自身のバックグランドが作品にも少なからず影響し ている」と語る落合。本展では、両国の土地にまつわる祭や儀式を撮影 した新シリーズ『KOTOHOGI』のほか、親族の写真を二枚ずつ向かい 合わせに重ね、ライトボックスで照らす作品シリーズ『One』、幻灯機 を用い、日本とヨーロッパで収集したガラス絵のイメージを天体のよう に空間に巡らすインスタレーション作品『Intersect』を展示。時間的、 空間的に離れた物事を映し出す複数のイメージを重ね合わせ、共通項や 差異を浮かび上がらせます。
桝本佳子
陶磁器に絵付けされる文様が立体的に飛び出し、主客転倒する大胆な作 風で注目を集める桝本。現代に真葛焼 まくずやき が蘇ったかのようなインパクト と、茶道の経験を通じて培ったという陶磁器を愛で、楽しむ感覚から生 まれたユーモラスなモチーフが特徴的です。本展では「まつり」に因み、 灯籠や団扇などを象った作品のほか、虫取り網やクワガタなど夏らしい 要素に溢れた作品を展示します。