SPIRAL

Where Creativity Comes to Life

CREATOR’S INTERVIEW – UMIOTO/後編 –

青山

2026.05.01(Fri)

#Art#Event#Interview

Art & Exhibition

つくり手の想いを綴るCREATOR’S INTERVIEW。
今回はSICF26のマーケット部門でグランプリを受賞したUMIOTOさん。
風景が奏でる音やかけらからイメージをして、唯一無二の真鍮を藍染めした装身具や、アートオブジェを制作しています。

前編では、金工や藍染めなど、制作の歩みを追いました。
後編では、UMIOTOさんがこだわられている音や、インスピレーションの元になっている風景について伺いました。


創作の源は音。

 

― 大学生の頃、風景からも音色を感じていたと仰っていましたが、昔から音は意識されていたりしたんでしょうか。

UMIOTO私の名前が、海の音って書いて“あまね”と読むのですが、その由来が、海の近くに住んでいて嵐で海の音がゴーゴー大きい音を立てている日に生まれたからと聞かされてから、音にまつわることについてはなんとなく意識していました。

学生時代に旅をした時も人力車に乗っている時の音をカセットに録音して、帰国後に聞くと、その光景をすぐ思い出したりと、音って言葉や目で見るよりもイメージが湧きやすいな、と思ったり。

— 嵐の中で生まれたっていうのは、自然のエネルギーみたいな強さを感じますね。

UMIOTO全部後付けですけど、雨水*っていう日に生まれていることとかも、水に関係することに何かあるのかなと思っちゃいますよね。いろんなことに共感しやすいというか、人間じゃないものでも、植物になって考えるとか、その動物になって考えたらこうだろうなとか。そういうところは昔からあるかもしれないです。

*雨水・・・二十四節気の暦。立春のあと、2月19日 – 3月4日ごろ

 

— 想像したり、共鳴しているんですね。音を捉えて制作される際、どのようなシーンから発想されるのでしょうか。

UMIOTOそうですね。日常の身近なところからで、たとえばこの作品は、 娘がストローで飲みものを吹いたときの音からイメージした作品であったり、こっちは植物のツンツンポコポコって何かが生まれてくる時の音のイメージ。

形をつくる時は、テキスタイル的な感覚というか、ある場所で形が切り替わっていって、連続する模様みたいなものを意識してつくっているのかなって、最近いろいろ向き合う中で思いました。左右対称の作品があったり、具象に近いものよりも、抽象的でユーモアのある形とひらめきを探りながらつくりたいと感じています。

 

— 風景からも音を感じることがありますか?

tsun tsun poco poco

UMIOTOたとえばこちらのtsun tsun poco pocoという作品。春の時期に、植物が咲いている風景を見たときに、ツンツン! ポコポコポコポコ〜と植物が芽吹き始めているような音に感じたので、その音を作品にしました。

あとは、少数民族の棚田を訪れた時も、人が歌っている光景を見て、花が歌っているように感じて、不思議でかっこいいなって。自然も人も美しくて面白いし、エネルギーをもらえるし、生命力を感じて惹かれます。

そのときに感じたものや、風景の音をイメージしてつくると面白いものができるんじゃないかなって思います。

日常の何気ない光景から生まれる作品

 

— 今回の展示タイトル「WATER FLOW」は、水の流れや揺らぎが元になっているのですか?

UMIOTOそうですね。雨上がりの庭に鳥がやってくると葉が揺れて、雫が地面に落ちる。そしてその水をまた植物が吸い上げる。そういう循環をイメージしています。

以前太極拳で「地面から水を吸い上げるポーズ」を習ったとき、「小さな世界の中で人間も生き物もシンクロしながら、循環している!すごく楽しい!」 って感じたんですよね。その時に、今回の展示は「WATER FLOW」ってタイトルにしようと思いました。

― 今回展示される作品は、UMIOTOさんにとって最大なんだとか。小さいサイズも素敵ですけど、大きい作品は神秘的な印象が強くなりますね。

UMIOTO大きいサイズの鳴りの良さはありますね。不思議ですよね。立体って立ち上がるから、存在感があって好きですね。

 

― ベルのシリーズは、音色が作品によって違いますね。

UMIOTO板の厚みとか金具の大きさで、音が違ってくるんです。高音の作品は、こういう形にしたいと思っても、なかなか思い通りにいかなくて。さまざまな金具をつけたり外したりしながら「あ、これで決まり、この音だ」と思ったら、そこで作業をストップする。形を意識しつつも、一番いい音が出ることを考えて制作しています。

― 日常の風景から作品の着想を得ているとのことですが、どのような景色に魅力を感じますか。

UMIOTO近所を散歩していると、突然家が建っていたり、空き地にビニールシートが貼られて、植物が潰されていたり。身近なところの急激な変化、さらに世の中的にも苦しくて、時々気持ちが追いつかないときがあるんです。ただそんなビニールシートやコンクリートの間から、小花が咲いていたりするんですよね。そういった植物の生命力や美しい景色を見ているとエネルギーをもらえるし、私の周りはまだまだ楽しいことがたくさんある。そんな気持ちを大切にしながら、作品づくりをしています。

 

― 今回の展示をお客様にどんなふうに見てほしいと思っていますか?

UMIOTOさまざまなお客さまに実際に作品を鳴らしてもらえたらと思いますね。最近は駅の発車音などの利便性に特化した音に溢れていて、疲れてしまうことも多い。素朴な音にぜひ耳を澄ませて、音から何かその人それぞれのイメージを浮かべてもらえたら嬉しいですね。

 

― 音色を聞いてちょっとホッと、一息する時間を持ってもらう。

UMIOTOそうですね、ホッとしますよね。深呼吸に近いかもしれないですね。音を聞くことで、日常の喧騒から離れて、どこかへ連れて行ってくれる……この不思議な造形、藍の色も相まって異国や非日常を感じてもらったり、昔、旅したところを思い出してもらったりしてもらえると良いなと思います。

― 最後に、今後挑戦してみたいことはありますか?

UMIOTO:海外の方が購入してくださることが増えて、さまざまな国の方に触れていただいたり、コラボレーションできたら素敵だなと思っています。あと、大きな作品ですね。大きな造形になると、身体性がより重要になってきて、いろんな角度も考慮するから、制作が難しくなるんです。

失敗も重ねたりするんですが、でもそれが楽しくて。制作への気力が湧いている今、昔つくっていたようなもっと大きな作品にも徐々にチャレンジできたらいいなと思います。

UMIOTO

1983年神奈川生まれ。2006年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科金工専攻卒業。
2020年「UMIOTO」を立ち上げ、風景が奏でる音やかけらからイメージをして、唯一無二の真鍮を藍染めした装身具や、アートオブジェを制作している。

主な受賞歴に、「第9回岡本太郎現代芸術賞」入選(2005)など。
主な出展歴に、「77 NEEDLE WORKS/ UMIOTO」(Spiral Market アトレ 吉祥寺)(2025)「その人の美意識、感性を香りとして纏う」(三越伊勢丹 新宿店本館/東京)(2025)など。

Photo : Rika Ozawa

SICF26 MARKET部門 グランプリアーティスト展
UMIOTO 「WATER FLOW」

スパイラルは、昨年5月に開催したアートフェスティバル「SICF26」のMARKET部門において出展者70組の中からグランプリに選ばれたアーティスト、UMIOTOによる個展を開催します。

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