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CREATOR’S INTERVIEW – サワイダイスケ/前編 –
つくり手の想いを綴るCREATOR’S INTERVIEW。
今回はSICF26のエキシビション部門でグランプリを受賞したサワイダイスケさん。
大きな影響を受けたスケートボードの話や、作家活動を始めたきっかけ、SICF出展で印象深かったことなどを伺いました。
スケートボードが、自分の世界を拡張した
― まずはサワイさんのバックボーンからお伺いできればと思います。スケートボードカルチャーから多大な影響を受けているとのことですが、いつ頃から始められたのでしょうか?
サワイダイスケ:15歳ぐらいからですね。当時、裏原のストリートファッション、スケートボードカルチャーがすごく盛り上がっていて、2歳上の兄が始めたことに触発されて、高校の友人と「スケボーはじめようぜ」ってはじめました。
― スケートボードに魅了された部分はどういったところなんでしょうか?
サワイダイスケ:スポーツの多くがチーム競技で、対戦相手をどうやって攻略するかを戦略的に考えることが面白い部分だと思うんですが、スケートボードの場合は、戦う相手が「自分自身」なんですよね。
初心者であろうと、メダリストクラスであろうと、みんな「チャレンジャー」という意識が強い。だから、メダリストがすごく高い階段の上から飛ぶことも、初心者の人が1段の段差を飛び越えることも、どちらもリスペクトされるという土壌があるんです。
高く飛べることは本当にすごいことなんですけど、自分を越えようと挑戦する姿勢が評価される。 年齢、性別、国籍、貧富の差、学歴の差に関係なく、みんなで褒め称えるカルチャーで、その精神性がスケートボードの一番好きなところですね。
「ものの見方」もスケーター独自の目線があって、街中のちょっとした段差がスケーターにとって、魅力的なスケートスポットになるんです。
それが、認知領域を広げているというか、世界を拡張しているような、自分の精神性を豊かにしてくれる感覚があるところも好きですね。
― ものづくりはいつ頃から興味を持たれたんでしょうか?
サワイダイスケ:子どもの頃から手を動かすのが得意で、図工の授業も絵を描くのも、釣りも好きでした。でも、スケートボードをやり始めてからそれだけがあればいいって思うくらいどっぷりハマっちゃいまして。
ものづくりとは距離を置いていたんですが、スケートビデオの撮影中に大きな怪我をしてしまい、長い期間滑れない時期がありました。その頃にスケーターの写真や映像を撮り始めて、裏方に回るようになったんです。
その後、「(自分から)スケボーを取ったら、何も残ってない」と焦ってしまい。何かしなくちゃ、と焦る思いから、昔好きだった釣りを再開したり、絵を描いたり、美術館に通ったりしていました。
その頃に描きためた絵がある程度の枚数になったので、友人と一緒に展示会をやったんですね。それが作家活動のスタートです。
当時は花とか植物の絵を描いていて、今と作風が全然違いますね。その展示がきっかけで、アパレルブランドのグラフィックに携わるようになったり。
― その時の作品はまだ残っていますか?
サワイダイスケ:当時の作品はほとんど手元に残っていないですね……。
あ、Tatsumi-Ya(タツミヤ)さんってご存知ですか? スケートボードを販売している文房具屋さんなんですけど、そこのお店がオリジナルのデッキ*ブランドを立ち上げる時に声をかけてもらって、最初のデザインを手掛けさせてもらいました。
これはその時のデッキですね。
猫ってスケーターの人も飼っていることが多くて、性格や習性がスケーターと相性が良い動物だと思っているんですが、実家の猫をメインモチーフにして、当時使っていたGペンやインク瓶、猫のご飯やおもちゃ、VHSの有名なスケートビデオなどを織り交ぜて描いていて。 この頃は自分の制作コンセプトが決まらないことにずっと悩んでいて、クライアントワークで依頼されたものは描けるんですけど、自分の作品がつくれない期間が2年くらいありました。
*デッキ・・・スケートボードの板の部分
― 本格的にアーティスト活動を始められたのはいつ頃でしょうか?
サワイダイスケ:2年前ですかね。アーティスト活動をする前は、新卒から16年間、半導体関連の商社の営業マンをやっていて、実はつい最近まで会社員でした。
僕がいた頃の半導体メーカーは、ニンテンドーDS、プレステ2の発売や、iPhone6の登場など、業界が右肩上がりで忙しかったんですよね。
ボーナスは出ますし安定はしているけど、心のどこかで「こんなに膨大なエネルギーを使って、技術革新して、人類はどこに向かっていっているんだろう」って思っていました。資源にも限りがありますし。でも、スマホやカメラの性能は格段に良くなっていったり、技術や文明が発達してネガティブなことばかりでもなかったり。
SICF展示で海を超えて、想いが伝わる瞬間
― SICFの応募のきっかけは?
サワイダイスケ:作品の展示というより、自分の世界観を見せられる場所が欲しかったんですよね。でも気になるギャラリーにDMを送ってもなかなか返事がこなかったり、展示のきっかけをつくるにはどうしたらいいのか考えていた時に、SICFを見つけて。
自分の世界観を打ち出せる場と、さらなる展示のきっかけにつながるような出会いがあることを期待して、応募しました。
― SICF26の展示は、カラフルな積み木に楽しげな雰囲気を感じながらも、不穏な雰囲気を漂わせていましたが、「積み木」を作品に落とし込んだ理由を伺えますでしょうか。
サワイダイスケ:自分の子どもが3~4歳くらいの時におもちゃをプレゼントしたのですが、低年齢の子が遊ぶおもちゃって「ピュアな存在」だと思ったんですよね。
幸せに、無事に成長してほしいという希望と愛を込めて、大人から子どもへ授けることが、すごく純粋な行為だなと感じました。
そのピュアの塊であるおもちゃに、昨今のネガティブな世情に対する自分の想いを乗せることで、かわいさと不穏な雰囲気、ポップとシニカルといった相反するものが共存する世界を表現しました。
― SICF26で出展した際に、印象深かったことはありましたでしょうか?
サワイダイスケ:自分が思っていた以上に、作品への想いが伝わるんだな、理解してくれるんだなって感じました。
フラッと寄ってくれたアメリカ人の方から「僕、重油の除去の仕事をしたことがあるよ、」と声をかけてもらって、「本当に悲惨だったよ」と会話ができたり。
70歳前後くらいのこれまたアメリカ人の年配の方に「僕の故郷もトウモロコシ畑と石油の採掘所があって、このモチーフは原発だね」と、自身の経験を含めてお話ししてくださったり。
僕の作品を通じて、お客さんと作品がつながる瞬間を見れたり、作品への反応が良くてすごく嬉しかったですね。
>後編に続く
Photo:岡田美波
\近日公開/
CREATOR’S INTERVIEW サワイダイスケ / 後編
サワイダイスケ
1983年秋田県生まれ、東京を拠点に活動。2006年駒澤大学法学部政治学科卒業。
人と文明の関係性を制作の中心に据え、人類史における火を「connector」として 再解釈した作品を発表している。 幼少期から蓄積されたスケートボードの身体的経験とその文化が内包する火の象徴 性を起点として、人類が拡張し続ける文明への違和感の中で浮かび上がる人類の在 り方への問いと、希望のかたちを、作品制作を通して探究している。
主な出展歴に、個展「HOME SWEET HOME」(2025/MILLHOUSE PRINT LAB/ 東京)、「DISCOVER」(2024/SPOTMAN/東京)、「KINDLING」(2024/MAT/東京) など。
SICF26 EXHIBITION部門 グランプリアーティスト展・受賞者展
サワイダイスケ 「BURNING SWEET LIFE ‒ Connection to Hope / 希望への接続 ‒ 」
スパイラルは、昨年5月に開催したアートフェスティバル「SICF26」EXHIBITION 部門において出展者100組の中からグランプリに選ばれたアーティスト、サワイダイスケの個展を開催いたします。
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SICF26 EXHIBITION部門 グランプリアーティスト展・受賞者展
サワイダイスケ
「BURNING SWEET LIFE ‒ Connection to Hope / 希望への接続 ‒ 」 2026.05.09(Sat)-2026.05.24(Sun) -
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