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CREATOR’S INTERVIEW – サワイダイスケ/後編 –
つくり手の想いを綴るCREATOR’S INTERVIEW。
今回はSICF26のエキシビション部門でグランプリを受賞したサワイダイスケさん。
前編ではSICF26を振り返っていただきましたが、後編ではグランプリ展への意気込みを伺いました。
― サワイさんの作品にとって、「火」はアイコンのひとつですよね。スケートボードカルチャーに登場する「火」を使ったグラフィックにも影響を受けていらっしゃるとか。
サワイダイスケ:スケートボードカルチャーだと、「火」や「スカル」はいろんなところに使われているモチーフなんですよね。
スカルに関しては、僕が始めた頃は “ZERO SKATEBOARDS”といったブランドが、90年代後半 – 00年代にスカルのロゴを打ち出していて。もう少し前だと、“POWELL PERALTA”が有名でして、スカルモチーフのグラフィックをたくさん出しているんですね。
スケーターには有名ですが、“SPITFIRE WHEELS”のロゴが火の玉のグラフィックだったり、有名なデッキブランドの“Chocolate Skateboards”のビデオ「Hot Chocolate」にも板を燃やした状態で技を披露するシーンがあったりと、スケートカルチャーではお馴染みのモチーフなんですよね。
サワイダイスケ:あくまで自分の解釈ですが、スカルはスケートボードのダーティさや危険な遊びの象徴、火のモチーフは、メインストリームに対するカウンターカルチャーの精神を表しているんじゃないかと思います。アウトサイダー的な不良の燃えたぎる精神性、反骨精神の象徴としての火なのではないかと思っています。
ただ、僕がスカルなどのモチーフを選んでいるのはスケートボードカルチャーの文脈ではなく、美術史の静物画からの影響が強いんです。静物画がジャンルとして発展した15世紀ごろ、特にヴァニタスというジャンルでは、モチーフ自体が意味を持つ寓意的なもので、スカルは死を、蝋燭は命の儚さを表現していますよね。そういった要素を自分なりに解釈して作品に反映させています。
― 今回、火の手が上がる小屋が展示空間の中心に配置されています。どんな意味がこめられているんでしょうか?
サワイダイスケ:今回、「定住」をテーマのひとつに掲げているんです。家(小屋)は、日常を形成する大切な存在でありながら、「土地を占有、占領する存在」でもあります。そもそも人類は地球に定住し、占領しているわけですし、占領するということは争いの種にもなりますよね。おもちゃっぽくてポップだけれど、家が燃えているというショッキングなビジュアルを目にして、地球に定住する私達について何か想いを巡らせてもらえたらと思っています。
ネガティブな側面ばかりにスポットを当てない
― 今回のサブタイトルは「希望への接続」になっていますよね。展示テーマ「BURNING SWEET LIFE ‒ Connection to Hope / 希望への接続 ‒ 」のコンセプトを教えてください。
サワイダイスケ:メインのモチーフである「火」って、現代だと火事や消失などネガティブというか、危険なイメージが先行していると思うんです。でも、人類の進歩にとって火は欠かせない存在で、本来ポジティブなものなはずなんです。
諸説ありますが、人類が火を使い始めたきっかけは、雷などからのもらい火や、ゾロアスター教で有名なアゼルバイジャンのガスの自然発火などもあります。その頃の人類からすると火って希望の塊だったんじゃないかなと。火を得たことで、人類と他の野生動物たちとの立場が一気に変わってしまった。他の生物は長い年月を経て進化するのに対して、人類は一気に進化してしまった。人類にとってはラッキーな出来事だけれど、地球規模で考えると相当なインパクトですよね。
ネガティブなことも起きている世の中ではありますが、作品としてはネガティブな感情にスポットを当てていくのではなく、この先の未来に想いをつなげていくために、「希望」というキーワードを打ち出したいと思ったんですよね。
サワイダイスケ:少し話が変わりますが、映画の『セブン』※ってご存知ですか?大好きな作品なんですが、終盤にヘミングウェイの詩を引用したセリフがあって。
1995年公開。デヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演のサスペンス映画。七つの大罪をテーマに、衝撃的な結末が話題を呼び、世界中で大ヒットとなった。
「この世は素晴らしい。戦う価値がある。(The world is a fine place and worth fighting for.)」
僕自身はヘミングウェイにそこまで詳しくないのですが、このセリフを聞くと、いろんなことが腑に落ちるというか。生きていると、事故や災害など、嫌なことがたくさん起こる。起こってしまったことやつくられた仕組みを責めるのは楽ですけど、じゃあ破壊するほどこの世がクソかと言われるとそういうわけじゃない。
壊すのではなく、自分たちでつくって良くしていく。そういう意識に持っていく方が、建設的で価値があると思うんです。受け身になりすぎず、自分たちで未来を築いていくという希望を持ちたいですよね。
― 今後の展覧会への想いをきかせてください。
サワイダイスケ:まずは支えてくれた家族、友人、先輩に感謝の気持ち。それから、設営設計に関わってくださったみなさまのおかげで実現できた展示なので、感謝でしかないですね。材料やエネルギーを多大に使うので、モノや材料自身にも使われてよかったと思ってもらえるように、悔いのない展示にしたいです。
スケートボードがそうであるように、子どもから大人まで、性別、国籍など関係なくフラットにさまざまな人に見てもらえたら嬉しいですね。まずは感覚的に見てもらえたらと思います。
見た時には作品のコンセプトがわからなくても、後から世界とつながっていることに気づいてもらえたら。これから人類がどのような道を辿るのか、豊かさや幸せとは何か、など、作品を通じて良質な問いを作ることが作家としての役割なのかな、と。
― 今後の展望を教えてください。
サワイダイスケ:展示の規模は大きくしていきたいし、パブリックアートなどの公共の場での展示もいつかやりたいと思っています。
規模が大きくなれば、エネルギーを使う量も増えて、自身のエゴになってしまうかもしれないというジレンマももちろんありますが、もっとたくさんの人に展示を見ていただいて、自分の想いを伝える場を増やしていければと思います。
Photo:岡田美波
portrait photo:Takeshi Abe
サワイダイスケ
1983年秋田県生まれ、東京を拠点に活動。2006年駒澤大学法学部政治学科卒業。
人と文明の関係性を制作の中心に据え、人類史における火を「connector」として 再解釈した作品を発表している。 幼少期から蓄積されたスケートボードの身体的経験とその文化が内包する火の象徴 性を起点として、人類が拡張し続ける文明への違和感の中で浮かび上がる人類の在 り方への問いと、希望のかたちを、作品制作を通して探究している。
主な出展歴に、個展「HOME SWEET HOME」(2025/MILLHOUSE PRINT LAB/ 東京)、「DISCOVER」(2024/SPOTMAN/東京)、「KINDLING」(2024/MAT/東京) など。
SICF26 EXHIBITION部門 グランプリアーティスト展・受賞者展
サワイダイスケ 「BURNING SWEET LIFE ‒ Connection to Hope / 希望への接続 ‒ 」
スパイラルは、昨年5月に開催したアートフェスティバル「SICF26」EXHIBITION 部門において出展者100組の中からグランプリに選ばれたアーティスト、サワイダイスケの個展を開催いたします。
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